No.078イラストレーション

イラストレーション

人の心に届くイラストレーション

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子供のころから絵の仕事がしたかった

おかもとせいこさんはイラストレーターでもあり、ラジオのアシスタントパーソナリティでもある、パワフルな女性です。絵と声での表現で活躍中の彼女ですが、これまでの道のりは平坦ではなかったと言います…
「子供のころからよく一人で絵を描いていました。あるとき先生が私の絵を褒めてくれ、それが自分の絵に自信をもった原点の記憶です。」せいこさんは絵を描くのが嬉しくなり、得意な絵を仕事にできたらいいなと思うようになりました。こつこつ制作を続け、高校卒業後は比治山短大の美術科へ進学。制作と向き合う日々に喜びを感じます。“これが私のやりたいことだ!”と思ったせいこさん。絵を仕事にすることは親に反対され、一時的に百貨店で働くのですが…
20代最後の年、「30代は本当にやりたかったことをやろう。」後悔しないように、絵にもう一度取り組もうと再びスイッチを入れ、8年間勤めた会社を思い切って退職します。せいこさんのチャレンジ人生が幕を開けました。

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東京の厳しい世界で挫折しかかるも…転機が訪れる

知り合いのイラスト塾の展示を見に、東京に行ったせいこさん。東京は最先端のアートが集まる街、展覧会もハイクオリティでした。絵を仕事にするならもっと勉強したほうがいいかも。そう思ったせいこさんは、2年という期限を決め東京のイラスト塾“MJイラストレーションズ”に通い始めます。しかし、待っていたのは厳しい世界。「得意だと思っていた自分の絵が、東京では“通用しない”ということを痛いほど経験しました。」イラストをコンペに出しても鳴かず飛ばずの日々が続きます。
「自分に絵は向いていないのかも…」絵の世界をあきらめかけたせいこさん。ところが応募し始めて3年目にして、これまでの頑張りが報われるような出来事が起きます。コンペに応募したキャラクターがようやくプロの目に留まり、2年連続で賞をもらったのです! 「自分の作品がプロから認められたことで自信がつき、もう一度頑張ってみよう! って思えた瞬間でした。」

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イラストに気持ちが乗り始め、だんだん仕事も増えてきた

せいこさんを受賞に導いたキャラクターは、コッペパンくん。実在する甥っ子の顔にそっくりな表情のキャラクターを作り、楽しく描きました。「それまでは学校の課題をこなすのに必死で、今思えば“描かされている絵”だったんです。一方このキャラクターはというと、自分が描きたいから描いた“自分の気持ちが乗った絵”だったんです。」コンペ受賞で自信がつき、気持ちの乗った絵が描けるようになると、絵のタッチも変わります。躍動感と、色合い豊かなイラストは次第に多くの人の目に留まるようになりました。
現在は、せいこさんの言葉をそのままお借りするなら“夢中な時期”。本の表紙や企業のロゴ、挿絵などの仕事が増え活躍の場が広がっています。「この世界に入り仲間も増え、行き詰ったとしても相談できる人がいる。そして、やりたいことに全力になれるのが幸せです。」せいこさんはいつも全力投球。今日も全力で画面に絵筆を走らせます。

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イラストレーターの本質に気づかされた1枚

選んでいただいたのはこの作品。タイトルは「18歳」。昨年グループ展に出された作品です。井口港をモチーフにし、描かれている女子高生が着ているのは、母校である皆実高校の夏服です。海・空・山はせいこさんが繰り返し描いてきたモチーフですが、持っている技術を出し切って表現で来た! と胸を張れる1枚だそうです。
この絵は、せいこさんのイラストレーター人生を語る上では欠かせない作品。「それまではプロからの評価を気にしていましたが、実際本にしても雑誌にしても、買っていただくのは一般の方。友人などプロではない一般の方から『いい絵だね』と褒められたことで“人の心に届く絵を描くのがイラストレーターの仕事の本質だ”と気づかせてくれた作品なんです。」と語るせいこさん。未知の未来に思いをはせる少女のワクワクした気持ちと、爽やかな夏の空気が伝わりますね。夢に向かいチャレンジし続ける彼女。今後の活動がさらに楽しみです!

写真 加藤郁夫 / 取材・文 日高愛子

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