No.089刺繍

刺繍

幸せを運ぶダーラナホースの壁飾り

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屋号は大好きなフィンランドの言葉から

pieni aarreという名前で活動する、刺繍作家の村井由美子さん。仕事場でもあるご自宅のリビングは、テキスタイルや北欧雑貨が飾られたとてもスタイリッシュな空間でした。北欧系インテリアを扱うご主人の仕事の影響もあり、家族旅行で2度フィンランドに行ったことがあるくらい北欧好きなご一家です。“pieni aarre”はフィンランド語で“小さなたからもの”という意味。由美子さんはひと針ひと針心をこめて、小さなたからものになるような作品を作っている作家さんです。
お母さんもおばあちゃんも洋裁をしていたので、針や糸が身近にある子供時代でしたが…「若い時は全く興味がなくて(笑)。20代は英語の講師をしていたんですよ。私がこうやって刺繍作家になって母が一番おどろいています(笑)」手芸を始めたのは育児中に何気なくフェルトの布おもちゃを作ったことがきっかけでした。ところが、ある本が由美子さんを刺繍の世界にいざなったのです。

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趣味から始まり、刺繍講師の資格を取ることに

ある日のこと。由美子さんは立ち寄った本屋さんで偶然おしゃれな刺繍の本に出合います。モチーフが今どきで北欧テイストにも似た雰囲気を感じ、その本に一目惚れ。「最近の刺繍はこんなに可愛いんだ! やってみたい!」すぐに本を購入し、見様見真似でモチーフを完成させていきます。育児の傍ら、スキマ時間の趣味として進めていく中で、次第に刺繍の楽しさに目覚めていきました。
探求心旺盛な由美子さん。どうせやるなら本格的に学びたいなという意欲が湧いてきます。講師の資格が取れる事を知り、刺繍の先生を探して教わることにしました。だんだんと友人から「その刺繍作ってみたい」という声が上がるようになり、「やってみたらいいよ」と作家仲間も背中を押してくれ、由美子さんは3年前から刺繍作家として本格的に活動を始めます。ちょうどSNSで“こぎん刺し”が流行り始めたことも後押しとなりました。

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刺繍の世界を幅広く伝えたい

“こぎん刺し”は青森県津軽地方に伝わる刺繍。麻布に規則的に糸を刺して耐久性と保温性を高め、寒い東北の冬を乗り切る知恵から生まれた手仕事です。その幾何学模様が北欧のインテリアとマッチする! と若い人達に静かなブームを呼んでいます。刺繍はご年配の方がするものというイメージがありましたが、SNSの普及もあり刺繍好きの裾野は広がり始めているようです。
作家活動と並行して複数の刺繍を教えている由美子さん。数年前からレッスンもされていて、中でもこぎん刺しの講座は人気を集めています。「英語講師をしていたこともあり、人に教えることが好きです。私自身、先生から教わって初めて知ることが沢山ありました。だから本だけでは分かりづらいポイントを教えてあげたいし、それで喜んでもらえたら嬉しいですね。そして刺繍にも色々あるのでその豊かな世界を知ってもらえたらと思います!」と笑顔で語ります。今後ますます活躍の場が広がっていくことでしょう。

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幸せを呼ぶダーラナホース

今回逸品として紹介していただいたのは、刺繍枠を使った「ダーラナホースの壁飾り」です。中央のモチーフがダーラナホース(馬)。スウェーデンで“幸せを運ぶ馬”として親しまれているデザインです。刺繍枠にまかれたテープがアクセントとしてお部屋に彩りを与える、可愛らしい作品です。
由美子さんがまだ作家活動を始める前のこと。このダーラナホースのブローチを作ってInstagramでプレゼント企画をしてみると、思わぬ反響がありました。それが作家として活動する勇気になった、由美子さんにとって思い入れのあるモチーフなのです。
刺繍は針と糸と布があれば大掛かりな道具や場所がなくても始められます。日常のスキマ時間ですこしずつ進められるので気軽に始めてみるのも良いかもしれませんね。自分で作った刺繍小物を誰かにプレントするなんて、ちょっと素敵じゃありませんか。

写真 田頭義憲 / 取材・文 日高愛子

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