No.124全粒粉のカンパーニュ

全粒粉のカンパーニュ

自家製天然酵母のカンパーニュ

海辺にある小さなパン屋さん

潮風が気持ち良い海辺にある小さなパン屋さん「うみねこベーカリー」。自宅の一角、祖父の代に居酒屋を営んでいた場所に、2016年1月、天然酵母のハード系のパン屋さんを始めた、店主の檜垣弥生さん。弥生さんがパン作り、お母さまの千秋さんが接客担当、この店の看板娘です。とにかく母娘2人の掛け合いが最高で、思わず笑ってしまいます。看板娘の千秋さんの笑顔を絶やすことのない明るい接客にファンが多いのもうなずける。オープンからひっきりなしにお客さんが来店し、近所の常連さんも多く、みんな迷いなく、お目当てのパンを次々と購入していきます。購入したパンをその場でカットしてくれるサービスも好評で「家でカンパーニュのようなハードパンを切るのは難しいし、パンくずがでてしまうから、希望される方には、カットしてるんですよ」と弥生さん。お客さん一人一人に声をかけて、近況報告などをしている様子を見て、街の人に愛されているパン屋さんだなと感じました。シンプルなカンパーニュにスープとサラダを付けたら、朝からごちそうだな。並んでいるパンを眺めているだけで幸せな妄想がひろがります。

パンは食べる専門でした

店主の弥生さんは、「大学を卒業した後に、手に職をつけたくて美容学校に入学しました」。国家資格を取得し、大阪で1年ほど美容師として働いていたころ、手荒れがひどくなり、色々な事情が重なったことから、転職を決意したといいます。その後、OLをやりながら小さなころから大好きだったパン屋巡りを趣味にして楽しんでいました。「当時は、食べる専門で、パンを自分で作ったことはありませんでした」と弥生さん。10年間ほどOLとして過ごす中「このままでいいのか?」という思いが募っていったといいます。小さいころかやりたいことをやらせてくれたという母の千秋さんの教えから「人生は1度きり!やりたいことをやろう!」「大好きだったパンを自分で作れるようになりたい」と製パン菓のある専門学校に入学しました。初めてのパン作りを学びながら、同時に就職活動を始めた弥生さんは、夏を迎えるころ、運命のパン屋さんに出合います。

憧れのパン屋さんで修業

全国にたくさんあるパン屋さんを巡った中で、「ここで修業したい!」と出合ったのが、神奈川県湯河原にある「BREAD&CIRCUS(ブレッドアンドサーカス)」。面接で「いずれ自分のパン屋さんを開きたい」と伝え、採用が決まったことから、専門学校を半年で辞めて、憧れのパン屋さんに就職しました。オーナー夫婦もパン作りは独学、天然酵母にこだわり、様々な種類のパンが並ぶ、街で評判のパン屋さん。いずれ独立するため、刺激的な毎日、時には泣きながら「思っていた以上にきつかった…」厳しい修行に食らいついていきました。釜当番、成型担当などパンの全行程を一人でこなせるようになり、最終的にはチーフとして、チームで仕事ができるようになっていったといいます。1年半の修行期間を経て、自宅を改装し、念願のパン屋さんをスタートしました。「オープン時間に来てもらったお客さんに、たくさんの種類のパンの中から選んでもらいたい」とオープン時に全種類のパンを並べているのは「ブレッド&サーカス」で学んだお客さんへのおもてなしの心。「うみねこベーカリー」でもお客さんに喜んでもらいたい一心で続けているといいます。

香ばしい「全粒粉のカンパーニュ」

店主のこだわりの詰まった「全粒粉のカンパーニュ」は、小麦酵母のルヴァンとライ麦酵母のライサワーをブレンドしてタネを作り、配合を工夫し、酸味を抑えて食べやすく、香ばしく仕上げた逸品です。「酵母、粉、塩、水のみのシンプルな材料だけで作るカンパーニュは、手間がかかるけどシンプルに仕上げているからこそ、パン自体のカロリーを抑えているので、自分で好きなバターやチーズ、ハムなどをのせて楽しんでもらいたいです」と自分はいっぱいのせたい派のパン好きの店主ならではのこだわりも。「うみねこベーカリー」のパンは、国産小麦など材料にこだわり、卵はほぼ使っていません。アレルギーがある人にも楽しんでもらいたいとプライスカードにアレルゲン材料を記載し、お客さんに寄り添った心遣いを感じます。外はサクッと、中はもっちりのハード系から柔らかいパンまで常時約30種類。子どもから大人まで食べやすく、毎日食べても飽きのこないパンが数多く揃っています。店主とお母さまの素敵な笑顔に会えるパン屋さんに通いたくなってしまいます。

写真 山本興 / 取材・文  三宅真理子

店舗情報

写真:全粒粉のカンパーニュ

全粒粉のカンパーニュ

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