No.128ビオラのピアス・イヤリング

ビオラのピアス・イヤリング

耳もとを愛らしく彩る花びらのアクセサリー

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花の美しさを封じ込めたアクセサリー

両手に抱えられたケースを開くと、色鮮やかでかわいらしい花びらがキラキラと輝いて並んでいます。アクセサリーデザイナーの藤本睦さんの作品です。藤本さんは、自然の花を特殊な樹脂で加工してピアスやネックレス、ブローチなどのアクセサリーを製作し、セレクトショップなどで販売しています。花の形や色はもちろん、自然の儚さまでも残した、つややかでとろけるような質感が魅力で、全て一点もの。「咲いている美しい姿を最大限表現できるように、そして身につける方が笑顔になっていだたけるように、丁寧に製作しています」。花店の仕事を10年以上やっていた藤本さんは、フラワーアレンジメントの老舗スクールで全カテゴリーの資格も持つ花のプロフェッショナル。花の特性や扱いにも詳しく、携わっていた経験も生かしながら、花の魅力を生かしたアクセサリーを生み出しています。「幸せの小さな魔法のようでありたいなと。名前にも思いをこめています」。

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自分の感覚を信じて、花の道へ突進

思えば、子どもの頃から花が好きでしたが、改めて気づいたのは最初の就職から数年経ったころ。たまたま友人が持ってきたフラワーアレンジメントに強く惹かれ、すぐにその店で花のレッスンを受け始めました。習い始めると夢中になって、「働かせてほしい」と猛烈に頼みこんだそうです。そして週末だけブライダルのアシスタントをするように。「いま思うとちょっと強引だったかもしれません(笑)。でも、自分の感覚に従って正解でした」。その後はアシスタントを続けながら技術を磨き、恩師である店主に背中を押されるように独立。フリーで活動する中、趣味でつくっていたアクセサリーがみるみる評判に。依頼が増え、本業になったといいます。「花を美しいまま残して身につけることができたらステキだなと思って、いろいろ工夫してつくっては人にプレゼントしていたんです。独立したころは仕事も少なくて時間がたっぷりあったんですよ」と照れかくし。

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変化も楽しむ自然の美しさ

藤本さんがつくるアクセサリーは、花を樹脂のかたまりの中に埋めるのではなく、全体を薄っすら覆うようにコーティングしたもの。「ぷるぷる」「つやつや」で、花そのものを身につけているような立体感です。色には特にこだわりがあり、桜のニュアンスあるピンクの発色も見事。毎年人気というのも納得です。Little Witchが生まれて10年。生花の美しさを長く楽しめるとはいえ、樹脂も花も経年変化は免れません。「昔は色が変わることにとても抵抗があり、なんとか変色を止めたいと必死でした。でも最近は、変化も含めて愛着や美しさだと感じるようになったんです」。時間が経ち少し黄みがかったアクセサリーは、落ち着いた雰囲気で肌馴染みがよく、洋服とコーディネートしやすいという魅力もあり、リメイクシリーズ「ポルトボヌール」も展開中。アンティーク好きな人はもちろん、昔からのファンの人にも喜ばれています。

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「誠実」の花言葉をアクセサリーに込めて

逸品に選んだのは、年間を通して人気があるビオラのピアスとイヤリング。藤本さんにとって特別な作品でもあります。製作を始めたころは、加工の過程で色落ちして、色をうまく表現できなかったため、色水を吸わせたバラの花びらを主に使っていたそうです。色づけした花は小売もされていますが、藤本さんはどうしても自然のままの花を残したくて、試行錯誤。いろいろな方法に挑戦しては失敗を繰り返し、初めて花の色を残せたのがビオラでした。咲いているままに、ブルーや黄色のグラデーションが完成したときの感動を、今でも覚えているといいます。
秋から春にかけて咲くビオラは、品種も多く、ビビットな明るいカラーから大人っぽいシックなカラーまで豊富にあり、身近で愛される花です。花が好きな人や、アクセサリーが好きな人はもちろん、プレゼントに選ばれる人も多いそう。ビオラの花言葉は「誠実」「信頼」などで、想いをのせた贈り物としても喜ばれています。

写真・取材・文 上内かなえ

店舗情報

写真:ビオラのピアス・イヤリング

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