No.134イベリコ豚肩ロース肉のグリル

イベリコ豚肩ロース肉のグリル

手間と時間をかけて仕上げる極上のヒトサラ

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人を惹きつける魅力を放つ「隠れ家」

「Chamaeleon grill de espanola」これほど探した店はないかもしれません。「隠れ家」なんて使い古された言葉で紹介するのも躊躇われるほど。周りの景色に溶け込み、壁かと見間違うほどの大きな扉を開けると、しっとりと心地よい空間が迎えてくれます。ホームページもSNSも持たない店ですが、評判を聞きつけた感度の高い人々が訪れ賑わいをみせる、そんな知る人ぞ知る名店の一つです。
この店を切り盛りするのは森中裕生さん。森中さんがオーナーから店を任されたのは、4年前のこと。以来それまでの店の味や雰囲気を壊さず、さらに自分らしく店を進化させてきました。「僕のことをカメレオンの人って呼んでもらえるとうれしいですね」と語る森中さん。料理一品、ドリンク、接客、空間、雰囲気、この店の隅々まで心を込めて作り上げています。

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飲食の最前線である現場に立ち続けたい

「せかいに一つしかないぼくのとくせいのりょうりを作ってみたい。おきゃくさまに『おいしい』とゆわれるようなりょうりを作りたいです」これは小学生だった森中さんが学校の課題で書いたもの。最近になって、親御さんからメールで送られてきたそうです。江田島にある森中さんの実家は、島で数少ない喫茶店を経営していました。モーニングからバータイムまで働く両親のもと育った森中さんは、小さなころから自分でご飯を作るなどしていたそう。飲食の道に進むことも、ごくごく当たり前のことだったと振り返ります。
学生時代にアルバイトをしていたカフェで、そのまま社員になった森中さん。そこでホールの仕事から厨房、マネージメントを経験します。30歳を迎えるころには、店長として席数も70席弱、30名以上のアルバイトを抱える大型店のマネージメントも任されることに。だんだんと現場から離れマネージメントの仕事が増えていく中「いくつになっても最前線で、お客さまの近くにいたい」という思いが強くなっていったそう。その気持ちを、かつての先輩だったカメレオンのオーナーに相談したことがきっかけで退職を決意、「カメレオンの人」への一歩を踏み出しました。

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仕事への思いを再確認したコロナ禍の休業

 「お客様との時間は一瞬の積み重ね」料理一品はもちろんのこと、ドリンクを提供するタイミングや声のかけ方、この一品、この一瞬が真剣勝負というのは、森中さんとオーナーが共に大切にしている思いです。カメレオンに移ってきた当初は「個人店は自分の腕だけが試される」と実感したそう。徹底した現場主義だと思っていた森中さん、商業施設に入る大型店の現場と流川の個人店の現場は、まったく別物だということを身に染みて感じたといいます。「お客さまとは一期一会だからこそ、この瞬間を大切にしています。お客さまがカメレオンで食事をするすべての瞬間に心を込める、僕に出来るのはそれだけです」店は自分自身そのものだとも語る森中さんにとって、「カメレオンの人」と呼ばれることは最高のほめ言葉なのだと静かに語ります。
コロナ禍で広島県からの協力要請に応え、森中さんはカメレオンを数カ月にわたり休業しました。その間、別の店舗で久しぶりにオーナーと共に働く時間を持った森中さん。同じ志を持ち実践する姿に刺激を受けたこの期間は、仕事に対する自らの思いを再確認する貴重な時間になったと振り返ります。

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森中さんおすすめの逸品/イベリコ豚肩ロース肉のグリル

「どれだけカメレオンが愛される店になるかは、これからの僕の姿勢が試されますね」と森中さん。カメレオンがオープンしたのは2012年、森中さんがカメレオンに来たのが2017年。店の歴史の半分を、森中さんが担ってきました。オープンしたころから、それほど変わっていないメニューの中から、森中さんがお薦めしてくれたのは「イベリコ豚肩ロース肉のグリル」。肉の旨味を閉じ込めるよう表面を焼いたイベリコ豚の肩ロースを2分ほどオーブンへ。取り出した肉は、予熱で調理し再びオーブンにいれる、その作業を繰り返し肉全体が均一に火入れることで、桜色の美しい断面に。柔らかくジューシーな肉を、イタリアンパセリとピクルスを細かく刻んだペーストを添えて食べると、極上の味が口いっぱいに広がります。
そんな至福の一皿は、森中さんの若かりしころを思い出させてくれる一品でもあるのだとか。まだホール担当だった森中さんには、憧れだった料理人がいました。髭を生やしコックコートを着て腕を振るう、仕事には厳しい一面を見せたかと思えば、後輩を気遣う優しさも忘れない。「華やかだけど、火入れはとても繊細」な肉料理と彼のイメージが重なるときがあるといいます。「カッコイイと思って憧れた、あのころを思い出す料理ですね」と森中さんは笑います。
「メニュー名は変わっていませんが、今では別の料理かというぐらい変わっていますよ」これからも味と技術を追求し、カメレオンという店と共に進化を重ねる森中さんは注目の存在です。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 山名恭代

店舗情報

  • 店名

    Chamaeleon grill de espanola

  • 住所

    〒730-0034 広島県広島市中区新天地1-10 新天地スクエア1F

  • 連絡先

    082-245-1020

  • 営業時間・
    定休日

    【営業時間】18:00~翌3:00
    【定休日】不定休

  • 地域共通
    クーポン

    Go To Eatキャンペーン広島 https://gotoeat.hiroshima.jp/

写真:イベリコ豚肩ロース肉のグリル

イベリコ豚肩ロース肉のグリル

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