No.142純米吟醸 TAIHEI 泰平

純米吟醸 TAIHEI 泰平

父への思いが詰まったメモリアルな1本

慶応元年創業の老舗の酒蔵

可部駅から車で約3分、「旭鳳酒造」はあります。慶応元年(1865年)創業、7代続く老舗の酒蔵、蔵元杜氏の濵村洋平さん。先代のお父様の代まで蔵元を代々続け、酒造りをする杜氏は外部から招いていたといいます。2015年に26歳で、7代目蔵元を継いだ洋平さんは、自ら酒造りの現場を仕切る杜氏も兼務しながら、旭鳳酒造の酒造りを行っています。150年以上前に建てられたという酒蔵は、長く時を重ね、様々な歴史を感じます。古きよきものを残しながら、新しいものも取り入れつつ、受け継いだものは大事に残していきたいと洋平さんはいいます。可部に酒蔵のイメージがなかったのですが、可部は元々水運も盛んな宿場町で、物と人が行き交う場所として栄えました。近くにある根の谷川の水は柔らかい口当たりが特徴で、山に囲まれた盆地の地形、自然豊かなこの場所で、美味しいお酒ができそうだと期待が高まります。

酒蔵を継ぎたい

大学卒業後すぐに、旭鳳酒造に入社した洋平さんは、「小さい頃から両親に継いでほしいと言われた事はなかったけれど、あたりまえにこの酒蔵を継ぐのだろうと思っていました」。酒蔵と自宅は繋がっており、小さい頃から関わりも多く、酒蔵で働く従業員の方とのつながりも深く、家族のような存在だった事も大きかったといいます。転機は2015年に訪れます。「父の代まで、外部から杜氏さんに入ってもらっていたんです。自らが杜氏としてスタートしたのは、父の死がきっかけでした」。6年前の夏、父・泰司さんが亡くなり、「お葬式の日に、自分で親父のために1本、酒を造りたい! と思ったんです」。その時初めて洋平さんは、「自分で酒造りをする」新たな目標を見つけました。

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杜氏になりたい

亡き父のため1本のお酒を造りたいと決意した洋平さんは、前任の杜氏に頼みこみ、初めての酒造りをはじめました。広島県産の材料にこだわり、可部の水、広島の米「八反錦」、自社酵母を使う事を決め、個性が出るお酒を造りたいと、1から10まで教えてもらいながら造った1本のお酒は、父・泰司さんと洋平さんの名前から1字ずつ取り「TAIHEI 泰平」と名付けました。「完成した喜びは今でも忘れられないし、親父への思いが詰まった特別な1本に仕上がった」といいます。初めて自分が造ったお酒には、特別な思いがこもり、今までと違う熱量を感じたといいます。このお酒を造ったことから、自ら杜氏として、酒造りをしていこうと決めた洋平さん。今まで杜氏が変わる度に、味にバラつきがでていたので、洋平さんが杜氏となった今、旭鳳の味を築き、繋げていきたいといいます。

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とっておきのお酒「TAIHEI 泰平」

洋平さんのおすすめは、もちろん「純米吟醸 TAIHEI 泰平」。「親父の意志を継ぎたい」と、父・泰司さんに向けて造った「TAIHEI 泰平」は、当初、メモリアルの意味を込めたので、本数限定で売り切ったら終わりにするつもりでした。しかし、飲んでもらったお客様から「とっても美味しかったから、定番としてつづけてほしい」との声をたくさんいただいた事から、今では皆に愛される看板商品になっています。香り高く、透明感があり、ふくよかな味わいで女性も飲みやすく、どんな料理にも合うバランスの取れた1本で、熱燗、常温、冷酒でも楽しめます。可部の街と人が大好きだという洋平さんは、「うわさ通りに楽しいと言われる街にしたい」と、可部駅東側から旭鳳酒造までの道を「噂通り」と名付け、地域の飲食店や老舗店と「噂通りの会」を結成し、可部の魅力を発信する活動を行っています。新旧入り混じり、不思議な魅力が詰まっているこの街の事をもっと知りたい。可部の街はどんどん面白くなりそうです。

写真 山本興 / 取材・文  三宅真理子

店舗情報

写真:純米吟醸 TAIHEI 泰平

純米吟醸 TAIHEI 泰平

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