No.148オーガニックレモン

オーガニックレモン

太陽と愛情をたっぷり浴びた島のオーガニックレモン

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レモンとわたし。ひとり農業はじめました。

竹原港からフェリーで約30分の海上散歩。たとえどれだけ慌てていたとしても、のんびりとした移動時間が体内時計を島時間に合わせてくれる愛おしい船旅も魅力の島、大崎上島。全国の離島ファンが憧れるこの島で、たったひとりでレモン農園を営む女性に出会いました。「ふじやファーム」代表の藤中夏実さんです。レモンをはじめ、ネーブルやみかん、文旦、甘夏など様々な柑橘類をすべて手作業で育てています。愛情をたっぷり注いで大切に育てた果実たちは、藤中さんの手から全国のお客さんのもとへ直接届けられます。これこそが、藤中さんが農家を目指すきっかけとなった流通のカタチ。商品として届けられるものはすべて作り手がいます。それがレモンでも、洋服でも。「生産者から消費者へ品物と想いを一緒に届けられるモノを作りたかった」そんな気持ちを大切に抱えて、瀬戸内海に浮かぶこの小さな島でレモン農園をスタートしました。

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自分の想いをモノに託せるのも農業の魅力。

東広島市八本松出身の藤中さんが大崎上島に移住したのが、2018年3月のこと。お兄さんが大崎上島の中原観光農園に勤めていたこともあって、迷いも不安もなくこの島へ。レモン農家を目指すきっかけは、アパレルの販売員として働いていた時に感じたことでした。「1年間ショップスタッフとして働いていたのですが、商品の魅力を最大限伝えるために、1枚の洋服がどのように作られてお客様が手に取るまでどんな過程を経ているのか知りたいと思うようになりました」と藤中さん。そんな時に足を運んだのが、お兄さんが勤める大崎上島町にある中原観光農園でした。農園で収穫を体験し、「農家なら自分で大切に育てたものを、自分の言葉でそっと包み、直接販売することができる!」そう思ったことが新しい人生のステージに向かうことの原動力となり転職を決意。家族の応援もあって、体ひとつで大崎上島へ移住しました。

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優柔不断に別れを告げ、農業は日々決断!

2018年春から1年間、中原観光農園で農業研修を受け、1年で独立できるようにとサポートし続けてくれた中原さんは師匠であり恩人だと当時を振り返ります。「人生で一番と言えるくらい勉強しました(笑)。農地をすでに確保していたこともあって、農園で学んだことをすぐに自分の農地で実践することができたのも大きなプラスでした。農業は小さな決断の繰り返しです。すべて自分ひとりで決めなければいけません。実は私、それまでは優柔不断で何かを決断することが苦手でした。決断することで自信もつきますし、農業は作物だけでなく私自身も成長させてもらえる仕事。あの時、大きな決断をしてよかったと心から思っています」と、この島で心豊かに暮らしていることを話してくれました。常にやりたいことに挑戦する藤中さん。2020年にはレモンの有機JAS認証を取得、さらに農地を拡大し800本もの苗を植えました。目標は「島でイチバンになること!」なのです。

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有機JAS認証農地で作るオーガニックレモン

藤中さんがレモンを栽培する上でこだわったのは、オーガニック。理由は、レモンは皮ごと食べる果実だから。「自分が大切に想う人に丸ごと食べてもらいたいから、安心安全にとことんこだわりました」。オーガニックの定義のひとつとして、化学肥料や化学農薬の不使用がありますが、これが大変。例えば、草刈り。除草剤はNGですから、すべて手作業で行わなければなりません。しかも、ひとりで。害虫や病気ともにらめっこが続きます。でも、そうやって大切に大切に育てたレモンだからこそ、藤中さんは自信と愛情を持って販売できるのです。注文が入ってから必要な数だけ収穫する、そんなスタイルにも藤中さんの想いは込められています。みずみずしいフォルムに、ジューシーな果肉。凛とした酸っぱさが、あらゆる食材を引き立てます。料理はもちろん、スイーツやジュースにも。添え物という固定観念をひっくり返す、主役になれるレモンがここにあります。

写真 篠原ゆき / 取材・文  村山ゆかり

店舗情報

写真:オーガニックレモン

オーガニックレモン

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