No.158天然酵母のカンパーニュ

天然酵母のカンパーニュ

わざわざ出かけたくなる 沼田のベーカリー

里山に行列を作る本格的ベーカリー

安佐南区唯一の中山間地域、緑の豊かな里山が広がる戸山地区。ここに朝7時の開店から行列を作る人気のベーカリー「Cadona」はあります。黄色くてかわいい外観のこのお店は、広島のパン好きなら一度は行ってみたいと願うパン屋です。
「街中の喧騒から離れた場所に自分のパン屋を開きたかった。車を走らせパンを買う、という特別な時間を好む人もきっといると思いました。」そう話してくれたのは店主の中原真介さん。そのたくましい体格から、職人として積み重ねられた経験の厚みを感じます。実直で飾らない人柄は、ハードで噛めば噛むほど味がでるCadonaのパンそのもの。
2010年にオープンしたCadonaは広島の人気ベーカリーと言えば必ず名が上がり、広島市内から車で30分以上かけて訪れる人が後を絶ちません。開店後も次々と窯出しされるパンは「どれも美味しい」と、一度食べるとリピーターになる方も多い。

大阪の学生時代 職人の道に飛び込んだ

中原さんは広島市佐伯区の生まれ。「自分らしい、人とは違う生き方がある気がする。」そんな風に感じていた高校生時代。一度地元を離れてみようと、進学先に選んだのは大阪の大学でした。
パン好きが高じ、自分のパン屋を開きたいという夢が芽生えたのも学生の頃です。一般就職をせずに職人の道に飛び込み、ホテル“リッツ・カールトン”のペストリー部門で3年間働きました。
そして研鑽を重ねた後、パン職人修行のために 関西屈指の名店“ブランジュリ タケウチ”の扉を叩きます。
当時、大阪市中区本町にあった伝説的パン屋、ブランジュリ タケウチ。小さな店舗にはお客さんがあふれ、多い日には一日1000人以上が買いに来る繁盛店です。一流のパン屋で求められる技術はとても高く、中原さんは努力に努力を重ね、技術を磨きました。その時覚えたパン作りの技術が今のCadonaの味に通じています。

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開店から変わらぬ姿勢でパンに向き合い続ける

「パン屋をする上で最も大切な『店作りの哲学』…コンセプトや商品作りの発想などを、ブランジュリ タケウチの竹内シェフの背中から学びました。今でも尊敬しています。」
中原さんは広島で自分の店を出す際、竹内シェフに電話を掛けたと言います。
「竹内シェフに言われたのは、『とにかくお前が好かれろ。』という言葉でした。人柄を前面に出して好かれれば、絶対に売れるから。その言葉に背中を押され、創業から走り続けています。」
戸山の山郷に店を開き10年。変わらぬ職人魂でパンを焼き続ける中原さん。
朝は早く、4時頃には作業を始めます。閉店まで全てのパンを一人で焼き続け、20時頃まで仕事は続きます。
「心がけているのは“楽しくやること”。万人受けを狙わず、自分らしさを出して楽しくやることです。そして自分を好いてやって来てくれるお客さんを想って美味しいパンを作ること。」そう、中原さんは言います。

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自家製天然酵母を使った田舎パン

こちらが逸品の「天然酵母のカンパーニュ」。カンパーニュとはフランスの田舎パンのこと。天然酵母特有の爽やかな酸味のあるパンです。
店を出す構想段階から天然酵母のパンをメニューにしたいと考え、手に入った広島県産の果実を使い自家製の酵母エキスを作りました。その酵母エキスに綺麗な水と粉を足し続け、10年以上育ててきた元種を使います。
Cadonaの自家製酵母を使い、時間をかけて発酵し、しっかりと焼き上げたカンパーニュ。
その他のパンもずっしり重みのあるものばかりでした。ベリーや大粒の栗などを贅沢に使ったパン、国産小麦薫るハードパンなど、ハイクオリティかつ個性的でCadonaでしか食べられない味ですよ。
初めてお店に行くと、プライスカードや商品名が見当たらず、次々と窯出しされるパンに圧倒されるかもしれません。でも店員さんに尋ねながら、並んで手に入れたパンの味はきっと感動を覚える程。また足を運びたい! と思うことでしょう。

写真 MiNORU OBARA / 取材・文 日高愛子

店舗情報

  • 店名

    Cadona(カドナ)

  • 住所

    〒731-3272広島市安佐南区沼田町吉山3149-1

  • 連絡先

    082-839-3006

  • 営業時間・
    定休日

    【営業時間】7:00~15:00
    【定休日】月・火(祝日は営業)

写真:天然酵母のカンパーニュ

天然酵母のカンパーニュ

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