No.159彫金と天然石のアクセサリー

彫金と天然石のアクセサリー

お守りのように身につけたい、希少石のアクセサリー

日常的に楽しめる、思いを込めたちょっと特別なものを

鈍く光るその真鍮のアクセサリーを初めて目にしたとき、真っ先に思い浮かべたのは、凛とした空気を纏った大人の女性。シンプルなデザインながらも存在感があり、無骨さを感じさせながらもどこか儚げで美しい…。そんな印象が強く残っています。真鍮とシルバー素材をメインに使ったアクセサリーブランド『tissroom.』。その作り手である栗田彩子さんも、強さと優しさを兼ね備えたような、そんなイメージの人でした。
「日常的にカジュアルに楽しめるけど、思いの入ったちょっと特別なもの。ジュエリーほど高価ではなく、ブランドもののように気負った感じもない。ハンドメイドだからこそ、私だからこその意味を考えながらつくっています」。そんな想いから、ネックレスやピアスに使う糸のように繊細なコードをはじめ、細かなパーツからつくっているのが特徴。シンプルなフォルムだからこそ、丁寧な手仕事による美しいつくりが映えます。昔からものづくりが好きだったのですか? と聞いてみると、「結婚するまでは全然興味なかったんですよ」とにっこり微笑みました。

「こんなものがほしい」を形に。裁縫から手仕事の道へ

専門学校卒業後は、6年間インテリア関係の会社に勤めた栗田さん。さまざまな資格を取りながらインテリアコーディネーターを目指して奮闘していました。そんななか、26歳のときに結婚が決まり、退社をすることに。「当時女性は、結婚したら仕事を辞めるのが当たり前の時代。結婚して出産して幸せなはずなのに、夢を志半ばで諦めたので、どこか悶々としながら生活していて…」。何かをはじめたい、そう考えたどり着いたのが、ハンドメイドでした。
最初は、子どものスタイ(よだれかけ)からはじまり、子どもの服やバッグ、さらにクッションカバーやカーテンなど、自宅のファブリックもほとんど手づくりするように。どんどん裁縫にのめり込んでいったそうです。そして、友人たちと参加したフリーマーケットをきっかけに、作品を販売するようになりました。「既製品で可愛いものを見つけても“ここがこうなっていたらもっといいのに”と思うことがありますよね。それを自分でつくれば形にできる。同じように思った人が作品を手にして、喜んでくれるのが嬉しかったですね」。

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作品を手に取ってもらえる、それは奇跡のようなこと

「アクセサリーづくりを本格的にはじめたのはここ2〜3年ぐらい。ただ、つくることは20年も続けているんですね。自分でもびっくり。母が縫子の仕事をしていたんですが、私にはあんな細かいことできないと思っていました。それが結婚で180度変わって。そしていまは、ミニチュア刀剣づくりが趣味の父が彫金の先生。自分がやってきたことのルーツは全て親から。改めて感謝ですね」。
コロナ禍によりイベントへの出店が難しい状況のなか、時間ができたことで、自分の作品の持ち味は何なのか、どんな人に喜んでもらえるのか、そんなことを考えるようになった、と話す栗田さん。パートナーと一緒に使えるユニセックスなデザインのものや、シルクコードを使ったカギ編みシリーズなど、肌に優しく使用感のよい素材を使ったものも増やしていきたいそう。「たくさんのもので溢れる時代のなか、私の作品を手に取り、それを購入してもらえるのは、奇跡のようなこと。立ち止まって色々考える時間ができたことで、一つの作品をもっと大事につくっていきたいと思いました。せっかく工房があるので、ここで販売会をしたりワークショップをしたり、落ち着いたらそんなこともしていきたいです。購入してくださった人に直接“ありがとう”って伝えたいですから」。

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身につけるだけでそっと背中を押してくれるような存在

「代わりの効かない、ほかにはないものに惹かれる」という栗田さんが選んだ逸品は、ハーキマーダイヤモンドという天然石を使ったアクセサリーのシリーズ。この天然石は、アメリカ合衆国のニューヨーク州・ハーキマー地方でのみ産出され、原石の段階でダイヤモンドのような八面体の結晶になっているのが特徴の特殊な水晶です。「ハーキマー鉱山はすごく柔らかい粘土のような土壌のため、結晶の先端が尖りやすいそうです。削ったり、磨いたりしてできた形ではなく、カットをせずとも八面体になっている。そんな特別感がいいなって」。また、ハーキマーダイヤモンドは、ドリームクリスタル(夢を叶える石)とも呼ばれ、パワーストーンとしても人気があります。栗田さん自身も、過去にハーキマーダイヤモンドを使ったアクセサリーを購入したことがあり、お守りのように身につけていたという思い入れのある石。嬉しいときも、悲しいときも、いつでも気持ちにそっと寄り添ってくれる、あなたのお守りのような存在になるはずです。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 佐藤明日香

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写真:彫金と天然石のアクセサリー

彫金と天然石のアクセサリー

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