No.048やまねこ印の尾道プリン

やまねこ印の尾道プリン

猫と魚の住む町生まれの、とても優しいおやつ。

すべての世代に美味しいおやつ

広島県尾道市。海と山に囲まれた風光明媚な小さな町にずいぶん前から建っている小さなプリン屋さん、それが「おやつとやまねこ」です。JR尾道駅の目と鼻の先。海へ曲がる角地、オレンジとクリーム色のテントが目印です。南に広がる瀬戸内海と北の丘陵地に挟まれた横に長い尾道の町に、昔から根付いているシンボルとも呼べるお店です。いまでは二世代も前となってしまった昭和時代を彷彿とさせるその外観は、国道2号線沿いを歩く人の目を惹きます。いつこの町を訪れても、その白い木枠のガラス扉とボーダー柄のテントの下には行列ができています。それもそのはず、ここのおやつは超絶品。遠い昔、ランドセルだけを玄関に放り投げ、お小遣いを握りしめて駆け出した先の駄菓子屋さんの、世界で一番美味しいおやつ。まるでそんな優しい味を、ずっと作り続けているのですから。
出迎えてくれたのは店員の伊達千枝さん。クリーム色のエプロンと明るい笑顔には、この町を優しく見守ってきた愛情が垣間見えます。おやつとやまねこといえば、『やまねこ印の尾道プリン』。おやつとやまねこがそのプリンへ賭ける想いを聞きました。

尾道で最初のプリン

お店の立ち上げ当時、尾道にはプリン屋さんが一軒もありませんでした。「おやつの定番とも言えるプリンがこの町にないのなら、それをお店のシンボルにしよう」と当時の店主が『尾道プリン』を生み出したのだとか。
おやつの定番と言っても、ここのプリンは一味も二味も違います。やまねこ印の小瓶に入ったこのプリン、プリンにはつきものの“あるもの“がありません。瓶の底にも、蓋を開けたてっぺんにも見当たらないそれは、茶色いカラメル。「せっかく尾道という地で作るプリンなのだから」と、おやつとやまねこが編み出したのは「レモンソース」です。こだわりのレモンソース、素材はもちろん瀬戸内産のレモン。因島や瀬戸田で収穫された安心安全なレモンを贅沢に使用しています。
さらにはこのレモンソース、お魚の型をした小さな容器で添えられているのも粋なところ。「だって猫はお魚が好きだから。」遊び心が光ります。

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おやつは、優しくなくては意味がない。

こだわりはレモンだけには留まりません。プリン作りには欠かせない、というよりも、プリンそのものとも言える卵と牛乳も広島県産です。牛乳は広島市北西の牧場で愛情いっぱいに育てられた乳牛からの恵み、砂谷牛乳。自家牧草ならではの豊かな旨みは、そのままプリンにも継承されます。そして、卵は尾道御調(みつぎ)産。瀬戸内の温暖な気候で穏やかに育てられた鶏からのギフトです。
そんな優しさに溢れる素材をさらに優しくするのがプリンの製法。尾道プリンはオーブンではなく、瓶詰めのまま湯煎でじっくり火を通します。そうすることで口当たりがより滑らかに、そして、素材の味もさらに惹き立ちます。
「小さいお子さまからお年寄りまで、みんなが楽しめるプリンでありたい。だからこそ、体にも心にも優しい気持ちを届けたい。そんな気持ちを大切にしています。」そう伊達さんは話します。

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小さな瓶の詰まっているのは、溢れんばかりの愛情

波の音と鳥の声を子守唄に、猫が日向ぼっこをする町、尾道。小さな瓶のやまねこ印が獲物として狙うのは、上からぶら下がったお魚。この町を訪れたことのある方なら一度は見たことがあるかもしれません。レトロな店先の長椅子では、プリンを片手に人々の会話に花が咲きます。お店にはひっきりなしに人が訪れます。おやつのやまねこの店員のお姉さんたちは、ある時はお母さんであり、またある時は孫娘なのかもしれません。
「おやつに込めたのは、お店からだけではなくこの町からの愛情です。」そう話す伊達さんは笑顔で話を結びます。「地域の方々のちょっとしたお声がけやお気遣いのおかげで、ここまで続けることができました。心を込めた手作りプリンから尾道の愛情を感じていただければ、とても嬉しいです。」
この町で古くから親しまれるおやつ屋さん。そのお店が届けるのは紛れもなく、優しさに溢れた愛情でした。

写真・取材・文 MiNORU OBARA

店舗情報

写真:やまねこ印の尾道プリン

やまねこ印の尾道プリン

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