No.036ベーグル プレーン

ベーグル プレーン

家族と酵母想いのパン職人がつくる、絶品ベーグル

迷ってでも行きたい、海辺のベーグル専門店

広島市内から呉方面へ向かう国道31号線を車で走ること約25分。坂横浜の信号をぐいっと右に入り、マリーナ広島を目指して海沿いを進みます。「この先にベーグル屋さんあるかな?」と少し不安になってもご心配なく。山を抜けてまた海側へ出ると見えてくるブルーのドアが目印、県内外からベーグル好きが通う店『禅ぱん』があります。街中の喧騒は皆無、のんびりパン屋さんをやるならこんな場所でと思い描くであろう憧れのシチュエーション。海の近くの住宅街にポツンと佇むその姿は、この町ではごく普通の風景だが、訪れる人にとってはすごく特別なように感じるのです。ドアを開けると「こんにちは」と陳列台の向こうから笑顔で迎え入れてくれるのは、店主の折出隆幸さん。9年前からこの場所でベーグルを作り続けています。おりこうさんに並んだベーグルたちも、まるでお客さんの訪問を喜んでいるかのような穏やかな雰囲気も魅力のひとつです。

サラリーマンからベーグル職人になるまで

折出さんが禅ぱんをオープンしたのは、2011年12月。3人目のお子さんが誕生して約2週間後、穏やかな冬の日でした。大学を卒業後、約10年間サラリーマンとして一般企業に勤務していました。この頃から趣味としてパン作りを楽しみ、1人目のお子さんの育児休暇を取得した際に本格的にスタート。「パン作りの師匠は奥さんなんですよ」と、夫婦でパン作りをライフワークのひとつとしていました。「休日にマルシェで販売したり、お友達にプレゼントしたりと、パンを通じてたくさんの人との温かい出会いがありました。この経験が【家族と仕事】というサラリーマンに課せられた永遠のテーマ(笑)を深く考えるきっかけになりました」。実はこの頃、知人から友人のパン屋さんが店を閉めるからと、パン作りの機械一式を譲り受けることになっていたのです。あくまでも、大人の趣味用としてですが。そして、機械一式がのちに店舗となる実家の一角に運び込まれました。

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家族と子育てと、そして大好きなベーグルと

「家族の時間を大切にしたいんだ」。ある日、折出さんは奥さんに相談します。子育てを一緒にしながら、大好きなパン作りを仕事として、家族で寄り添って暮らしていたい。そんな想いが溢れ、坂町にある実家の両親が営んでいた元食料品店を改装し、パン屋をオープンすることを決心しました。そこで看板商品として選んだのが、禅ぱんの代名詞でもあるベーグル。折出さんとベーグルの出合いは、今から20年ほど前に遡ります。当時、横川にあったベーグル店で食べたベーグルに感動し、そのモチモチ食感を再現すべく試行錯誤。自然のチカラを信じる自家製酵母を使用し、小麦粉は北海道十勝産をと、毎日安心して食べてもらえるようにオーガニック素材を選びました。やがて、自信を持ってオリジナル商品として出せるベーグル6種類が完成し、禅ぱんを開店。現在は10種類のベーグル+季節のパン3種類をメインに、奥様が作る焼き菓子をラインナップしています。

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基本は、包容力のあるベーグルであること

折出さんの朝はとても早く、午前2時までには起床し、2時半には工房に立ちます。生地をこねて発酵させ成型、さらに二次発酵させ茹でて焼く。この工程を7回以上繰り返し、約150個を作ります。自家製酵母との付き合いは15年となり、この間1日たりとも触れ合わなかった日はありません。酵母は生きているのです。「決して酵母を思い通りにしないこと。コントロールせずに、寄り添い受け入れる。管理しすぎないおおらかなパン作りをしていたいです」と折出さん。だからこそこれぞ逸品と言えるのは、酵母のチカラがそのまま反映されるプレーンのベーグル。理想とする“モチモチなのに軽いのどごし”これを表現できたものだけが陳列台に並んでいるのです。また他の素材を包み込む包容力によって、チョコやおさつりんご、メープルナッツなどのバリエーションが生まれます。2015年よりオンラインショップもオープンし、全国のベーグルファンへと届けられています。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 村山ゆかり

店舗情報

写真:ベーグル プレーン

ベーグル プレーン

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