No.075空宙トマト

空宙トマト

子供も喜んでパクリ! 空宙トマト

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天井からぶら下がる特殊な空宙トマト

安佐南区の住宅地。坂を15分ほど上ると突然ビニールハウスが見えてきます。「空宙トマト」はその名の通り空中に実っていました。光が差し込む明るいハウスの中に入れていただくと、ほのかに香る“トマトの香り”。ハウスの上部にトマトの樹を這わせ、ぷっくり実ったミニトマトがブドウのようにぶら下がっています。その光景はとってもカラフル! 赤いトマトや黄色いトマト。ちいさな実が薄緑から赤へと移り変わる天然のグラデーションに惚れ惚れします。40年前に空宙トマトを開発されたのはお父様の上野勝紀さん。ハウスの中を足取り軽く歩かれます。畑仕事は腰を曲げてのしゃがんだ姿勢が多いので、長年畑をされていた方の腰は曲がっていることが多いです。でも勝紀さんは長身でも背筋が驚くほどまっすぐで、腰が曲がる気配がありません。「何歳でもできる、楽な姿勢の農業ということで思いついた」という空宙栽培システム。上野園芸さんの事務所にお邪魔し、上野家の3人にお話を伺いました。

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空宙栽培の発案者はお父様

「誰もやらないことをやらないと生き残れんからね」。空宙栽培の開発者、勝紀さんは農業を始めた50年前を振り返りおっしゃいます。会社に3年勤めた後、ご両親がされていた農業を継ぎました。親世代の農業を見ていて、同じことをしていたのではいけないと思った勝紀さん。畑をやりつつも、アイデアを練ります。農業は腰を曲げての作業が辛い。もっと楽な姿勢でできないか? 地面に植えるのが一般的だけど、工夫したら植え付ける面は増やせないか? 農業は土作りが命だけど労力も費用もかかる。土を使わなくてもいい方法はないか? 常識の逆をゆく発想で編み出されたのが「空宙栽培」でした。結果的に、ミニトマトには空中での水耕栽培がマッチ! 現在は息子さんの上野太士さんが代表を継がれています。空宙トマトのPRを手伝う奥様と共に、日夜地道な努力を続けられています。

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美味しいトマトを出荷するという太士さんの熱い想い

夏場ハウス内は40度を超える気温になります。汗だくになりながらの作業。そしてトマトの味を管理するのは至難の業。皆さんはミニトマトの味をどれくらい意識されますか? 実は同じトマトでも、春と秋では味が違います。その年の雨の多さ、日照時間によっても、そして収穫が一日早いか遅いかでも味が違うんです。「もう収穫してもいい? って私が聞くと、(主人が)『もう一日待て』と言うこともあるんですよ」と奥様。ご主人の太士さんは「初めて買った商品(トマト)が美味しくなかったらもう手にも取ってもらえないので。暑い日、寒い日ありますけど、言い訳にせず品質にはこだわり抜きます」と話してくれました。最高の商品を出荷するために太士さん達はトマトに向き合います。

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手間暇かけたこだわりのミニトマト

トマト嫌いの子供も食べられると大人気の真赤なミニトマト。黄色いトマトはフルーツのような甘さでした! どちらも「これがミニトマトなの?」とびっくりする美味しさです。コクがあり、そのまま食べてもよし、お料理に使ってもよし! トマトを樹で完熟させてから出荷するのは大変だけど、それは味へのこだわりが強いから。最高の鮮度と味を届けるため近距離にあるスーパーや直売市で販売し、収穫したてのトマトの地方発送もしています。小学校の社会見学で来てくれた子供が、「嫌いなミニトマトが初めて食べられました」と手紙をくれたこともあるそうです。本当に美味しいトマトに出合えると、トマト嫌い、野菜嫌いの子供が減らせますよね。子供たちにも、もちろん大人にも空宙トマトの美味しさを知ってほしいと思います。

写真 MiNORU OBARA / 取材・文 日高愛子

店舗情報

写真:空宙トマト

空宙トマト

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