No.169This is my Treasure

This is my Treasure

光へ手を伸ばし、心から叫ぶレゲエアーティスト

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人生に寄り添う音楽を、広島から世界へ発信する

「歌がうまい人なんて五万といる。大切なのは相手の心に刺さるかどうか。魂からの叫びはガツンと人の心に刺さる、全ては叫んでいるかどうかなんですよ」そう語るのは、広島を拠点に活動するレゲエアーティストのDRIBBLA。一つひとつの言葉を丁寧に選ぶ口調には、穏やかながらも芯のある強さが感じられる歌い手だ。ドリブラーが歌い始めたのは2003年、彼が18歳のときのこと。以来、自分の可能性を信じ、常に高みを目指して挑戦し続けている。
2013年、日本のレゲエシーンで最も注目度の高いトーナメント「ROAD TO 横浜レゲエ祭」で、ドリブラーは圧倒的な支持を得てチャンピオンの座を射止めた。2019年には待望のアルバムをリリース。全国24カ所を巡るツアーを敢行した。ツアーファイナルを飾った、東広島にある憩いの森公園のステージで、彼と音楽との出会いや現在の思い、これからの夢について話を聞いた。

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人生初の挫折が、音楽の道へと導く

広島県東広島市で生まれ育ったドリブラー。幼い頃から音楽が好きで、いつもそばに音楽がある、そんな暮らしを送っていたという。「小学生の頃はJ-POPが好きでしたね。音楽の分岐点は中学1年のとき。インディーズミュージックのパンクロックに出会ったのがきっかけでした。今まで聞いていた音楽とまったく違い、破壊力が半端なかった。なんて刺激的で心が躍る世界がインディーズミュージックにはあるのかとのめり込みましたね。それからパンクロック、ハードコア、スカ、ヒップホップからブラックミュージックを聴くようになり、レゲエに出会いました」。
大学に入るまでプロを目指し、サッカーに打ち込んでいた彼の転機は、高校卒業と同時にやってきた。本気で打ち込んでいたサッカーを諦めたのだ。「人生が退屈でしょうがなかったときに、『広島レゲエバッシュ』に行ったんです。野外のライブで生のバンドだったんですよ。その迫力に心を射抜かれて、音楽やろうって思いました。それから友達を頼りに音楽を教えてもらって。曲を書いては歌いセレクターとして曲をかけ、クラブやライブハウスの舞台に立つようになったんです」。こうして生きる目標を見失いかけていた彼は、新たな挑戦を始めた。

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「石の上にも3年、というより10年」かけて手にした栄光

2013年「横浜レゲエ祭」。ドリブラーは、日本最大のレゲエミュージックフェスティバルの舞台に立っていた。この舞台への切符を手にするために「ROAD TO 横浜レゲエ祭」への挑戦を重ね、念願のチャンピオンに選ばれた。地方在住のアーティストが選ばれるのは、大会史上初の快挙。10年かけて音楽と向かい合ってきた、彼の努力が実を結んだのだ。これを機に、プロのアーティストとして大きく飛躍していった。ドリブラーはこの経験を、後に発表する楽曲「光」の中で、「大切なもののために注ぎ込んだ時間だけがくれる結果」とし、「今差し込むひとつの光 絶やすことのないように ゆずれないこの思いと気持ち 叫び続けるMy dream」とその喜びを表している。
2020年10月。全国ツアーのファイナルに野外ステージを選んだ。かつて自身が受けた衝撃を誰かにも感じてもらいたいと、生バンドを起用した。「音楽っていいぞ、音楽は最高だぞって伝えたかったんですよ。レゲエはね、人生に寄り添った音楽です。僕が目指すのも、流行り廃りのないライフスタイルミュージック。ライフスタイルに寄り添い、今感じていること、考えていることを大切に、喜怒哀楽すべてを音楽で表現していきたい」と音楽への思いを語ってくれた。

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This is my Treasure

2019年10月30日。ドリブラーは待望の1STアルバム「Treasure」をリリース。このアルバムには、音楽への愛やジャマイカへの思い、友達へのエール、制作途中に経験した広島土砂災害のボランティアで感じた思いや平和への願いなど、今起きていることへの思いを盛り込んだ。楽曲「光」、「SOUNDゲリラ部隊」、「おっこん」は、i-Tunesレゲエチャート1位を獲得するほど注目を浴びた。その後も2020年1月22日には、東京パラリンピック走り幅跳びで金メダルを目指す、中西 麻耶選手の応援ソングCDミニアルバム「鳳凰」を発表。その売り上げは彼女の活動費として寄付をしている。また、12月4日には三原小学校5年の児童が作った「光~Shining you」もリリースされた。ドリブラーは、コロナ禍で大変な思いをしている人たちを励ますためにと、児童が作詞作曲をした楽曲の制作サポートに参加した。「音楽が運んでくれたものや、自分の歩んできた道のりは全てが財産=宝物なんですよ。宝物に詰め込まれた全てのストーリーがここにある」とドリブラーは語る。
「今までノンフィクションで作ってきた歌詞を、フィクションでも作っていきたい」インタビューの最後に、ドリブラーはこれからの新たな挑戦を教えてくれた。「自分が得た知識で生み出すストーリーも一つのリアルで、僕自身のライフスタイルだと思えるようになってきたんです。フィクション、ノンフィクションに関わらず、すべてがリアリティに溢れるような作品を発表し、みんなが喜ぶ音楽を提供し続けたい」。

写真 的野翔太 / 取材・文 山名恭代

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