No.090Hotel FLEXのおもてなし

Hotel FLEXのおもてなし

地域と人をつなげるホテル

老舗旅館がホテルに

広島市内を流れる京橋川と猿猴川の分岐の川辺に建つ、スタイリッシュなデザイナーズホテル「Hotel FLEX」。前身の「吉川旅館(きっかわりょかん)」は明治5年創業、1994年のアジア大会を機に現在のデザイナーズホテルに大きく変貌を遂げ、Hotel FLEXとして生まれ変わりました。代表取締役 高橋伸光さんは、先代から5年前バトンを受け継ぎ、2021年には創業150周年を迎えます。ホテル名の由来は、フレキシブルに対応するなどの意味も込められているのだとか。Hotel FLEXを軸に、街の魅力を知ってほしいと「地域と人をつなげる」をコンセプトに、スタッフ行きつけのお店やおすすめのスポットをスタッフ自ら取材し作成した、街歩きのオリジナルマップを配布するなど、Hotel FLEXの滞在をより楽しんでもらいたいとの思いを込めた、細やかなおもてなしがホテルの随所にちりばめられています。

戦後の復興

当時3店舗あった「吉川旅館」の、本館が建っていたのが現在の「Hotel FLEX」の場所。原爆に遭い、焼け野原になってしまい、廃業を決め、アパートに建て替え工事をしていた時、「どうしても前の吉川旅館のような旅館にしてほしい!」との声が多く、先々代は「まだまだできることがある。もう一度、旅館として再スタートしょう」と再建しました。そんな創業当時の精神を核に、「変わるべきことは進化していくつもりです」と高橋さんは力強く言います。老舗の旅館からホテルへと舵をきった事も時代の流れを読みながら、常に進化をしていこうという精神は現在のHotel FLEXの経営理念に引き継がれています。高橋さんは、「子どもの頃、吉川旅館は阪神タイガースの定宿でした。野球選手や芸能人が多く宿泊していて、宿泊の噂を聞きつけて近所の人が集まってきて、とても賑やかだったんですよ」旅館=人が集まる場所だったという高橋さんは、Hotel FLEXでも、地元の人に気軽に立ち寄ってもらえるよう、1階にカフェを併設し、宿泊者だけでなく、地域の人とつながれる場所にしたいとの思いがあります。

老舗旅館を継ぐ

代表の高橋さんは、大学在学中ホテルの給仕のアルバイトをしていたこともあり、卒業後、東京の老舗ホテルに就職しました。東京の暮らしを満喫している高橋さんの元に、ある日広島から両親が上京してきました。「旅館を継いでほしい」と両親から初めて継いでほしいという思いを告げられた高橋さん。「東京での仕事や暮らしに満足しているので、難しい」と答えたといいます。「自分の人生だから、好きなように生きた方がいい」と言ってくれた両親が寂しそうに帰っていく背中を見て、NOときっぱり断った高橋さんの気持ちは揺らぎ、やがて気持ちが変化し、旅館を継ぐことを決意したといいます。広島へ戻り吉川旅館に入社した高橋さんは、様々な取り組みを始めます。旅館からホテルにリニューアルする際、地元の飲食店を運営する企業を誘致し、ホテル1階のカフェを併設、老舗旅館からデザイナーズホテルというお洒落でモダンなイメージに一新していきました。

おもてなしのこころ

1階のカフェと繋がっているお洒落なフロントには、スタッフの笑顔がキラリと輝いています。まるで、我が家にいるような雰囲気で落ち着くと、定期的な出張の定宿にされる方や長期滞在されるお客様も多いといいます。Hotel FLEXは、浴衣やアメニティなどお客様に寛いでいただけるオリジナルアイテムを作っており、海外のお客様は広島名物をモチーフにした浴衣などが喜ばれ、お土産などにまとめ買いされる事も多いのだとか。スタッフと一丸となってアイディアを出し合う勉強会を定期的に行っているという高橋さん。スタッフ発信のアイディアも積極的に取り入れ、コロナ禍の中でも、「変わるべくことは進化していきたい」と新しい発想や試みをどんどん取り入れているといいます。2021年春、1階フロントに併設しているカフェを自社運営のカフェにリニューアルオープン予定で「宿泊者だけでなく、地域のお客様にも親しんでもらえる憩いの場所になるといいな」とホテルと地域をつなぐ高橋さんのチャレンジはつづいていきます。

写真 山本興 / 取材・文  三宅真理子

店舗情報

写真:Hotel FLEXのおもてなし

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