No.094アップビートソース

アップビートソース

食卓と音楽をリンクする老舗味噌蔵のオリジナルソース

100年蔵が育む、ふるさとの味

安芸高田市向原、豊かな里山の景色が広がる山あいの町に和高醸造はあります。創業したのは1920年。自家製の米麴を使い伝統的な製法で、味噌や醤油を作る100年企業です。合成保存料を使わず、シンプルな材料で丁寧に仕込む味噌は、自然の甘味と旨味が凝縮された逸品。米麹を多めに使い甘口なのに後味はすっきりしている、と親子3代にわたり愛用する人も多く、県外からの注文も後を絶ちません。
そんな老舗蔵の4代目を務めるのが大坪慎吾さん。母方の実家だった和高醸造を、先代の祖父から受け継いだのは33歳のとき。人手が足りないからと蔵の仕事を手伝ううちに、この仕事の魅力にはまっていったそう。「自分が作ったもので喜んでくれる人がいる」ことが、何よりもの励みになっていると語ります。

味噌造りを通じて、物作りの楽しさを知る

高校を卒業後、大坪さんはアパレル関係の大学に進学。広島を離れ、愛知県で過ごしていました。ファッションが好きで選んだ道でしたが、洋服を作ることにはそれほど興味が持てず、音楽にのめり込んでクラブへ通う日々を過ごしていました。広島に戻り「蔵を継ぐかは、仕事を手伝いながら考えよう」としましたが、急激な生活の変化に戸惑い悶々とした日々を過ごしたこともあったそう。和高醸造の味噌を喜んでくれるお客さまや、おいしい味噌を作る蔵を潰さないでほしいといった周囲の期待に触れることで、「物作りの楽しみや喜びに初めて触れることができた」と蔵を継ぐ決意を固めていきました。それでも大坪さんが「この仕事を一生の仕事に」と思えるようになったのは、会社の代表に就いてからだといいます。先代も少しずつ現場を離れ、全ての責任を大坪さんが担うようになったときに、その決意が強固なものになったと振り返ります。

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「音楽とリンクした新感覚の調味料」の誕生

「和高醸造の味噌や醤油を、若い世代にも知ってもらいたい」大坪さんが代表になって、初めて取り組んだ新商品のプロジェクトが「アップビートソース」でした。既存の商品のパッケージを変えただけでは振り向いてもらえない、どんな人に喜んでもらう商品にするかと考えたときに、音楽でつながる仲間たちが思い浮かんだと大坪さんは語ります。レゲエの国ジャマイカの郷土料理「ジャークチキン」は大坪さんの得意料理で、仲間とのBBQでも好評を得ていました。「ジャークチキンの漬けダレを商品に」と決め、「音楽仲間にアピールできるものにする」という方向性が定まりました。ラベルには全国各地で活躍中のアーティストNOVOL氏がデザインを担当し、ソースの名前も大好きなBob Marleyの曲「jammin」から付けました。こうして世界の音楽シーンと食を結びつける和高醸造発の新しい調味料が誕生しました。

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大坪さんおすすめの逸品/アップビートソース

大坪さんの狙いどおり、音楽業界にアップビートソースが知られるようになると、コラボ商品のオファーも舞い込むようになりました。DJとしても活動する大坪さんが、尊敬してやまないDJ、MURO氏の活動30周年の記念コラボ商品として製造した「Piggin’Sauce」、Lafayetteとコラボの「HOT CHILLI SAUCE」やROOTSOULとコラボした「ROOT SAUCE」など次々に発売。「うちの商品がレコードショップに並ぶ日が来るとは、想像もしませんでした」と大坪さん。その「映える」見た目からも注目を集め、アパレルのセレクトショップなどからも取り扱いの申し出もありました。他にも、東京のクラブでソースのリリースイベントを開催したり、クラブにフード出店をしたりなど、大坪さんの想像を超える展開が待っていました。学生時代にアパレルや音楽の世界の人と仕事がしたいという夢が、形を変えて叶ったことを大坪さんは喜びます。
見た目のインパクトが強い商品ですが、どれも和高醸造の味噌や醤油をはじめ、地元産の野菜や厳選した素材を使い、おいしさを追求したこだわりの商品ばかり。視覚と味覚で音楽を感じながら、「BEAT」を「EAT」する調味料をぜひ体験してみてください。

写真 的野翔太 / 取材・文 山名恭代

店舗情報

写真:アップビートソース

アップビートソース

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