No.123ワイン

ワイン

故郷でワインをという想いが作った 鈴張ワイン

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広島市産の葡萄を使ったオリジナルワイン

数分歩けば北広島町に入る、広島市最北端の街“安佐北区安佐町鈴張”。取材に伺った日は、先日降った雪が数十センチ残り、あたり一面雪景色でした。佐々木勇さんは、この街で葡萄を栽培しワインを販売されています。
元ソムリエ・佐々木さんのワインへの愛は深い。21歳からワインに携わる仕事に関わり始めます。大阪、山梨と移り住みながら、生活の中にはいつもワインがありました。故郷である鈴張に帰って葡萄栽培を始め、多い年は1000本ほどのワインを販売します。
この畑は自分の“集大成”です。佐々木さんは優しく語ります。
案内された私たちは、標高400メートルの高地にある段々畑に到着。中国山地の麓にある段々畑の石垣は、室町時代に積まれたものだそうです。振り返れば鈴張の田畑が眼下に広がります。鈴張は昔から稲作が盛んで、佐々木さんの他に果樹栽培をされる方はほぼ皆無。佐々木さんは栽培に適した標高が高く日当りの良い場所を手探りで探したと言います。

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21歳からワインの道へ

佐々木さんが初めてワインに出合ったのは、調理師の専門学校時代です。学校の授業で初めて出合った、奥深いワインの世界。同じ品種の葡萄を使っても、風土により出来上がるワインの味が違うのだ…。ワインに詳しくなればなるほど、どっぷり魅了されてゆく佐々木さん。実はこの時、“自分の故郷である鈴張に葡萄を植えたら、ワインができるんだろうか?”とぼんやりイメージしていたそうです。時代的にも1990年代は赤ワインブーム。その後、稲垣吾郎主演のドラマ「ソムリエ」が流行に拍車をかけました。
専門学校卒業後、調理師ではなくソムリエの道に進むことを決断。大阪のレストランでソムリエとして活躍します。更に興味はワイン造りへと向かい、山梨のワイナリーに移ることに。葡萄栽培から加工、販売までを経験しました。

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ワインを通じて故郷の鈴張を知ってもらいたい

実は故郷広島に帰って来た時点では、自分が本格的に葡萄栽培するとまでは想像していませんでした。と言うのも、植えた葡萄がワインになるまで3~4年かかり、ワイナリーをするには資格も必要で、大掛かりな事業になってしまうのです。鈴張の気候が葡萄に適しているかも分かりませんでした。
佐々木さんは少しずつ挑戦します。2008年にワイン以外の仕事の傍ら、試しに10本の葡萄の苗を植えたのです。「初めは本当に、試しに…という感じです。何種か植えた結果、シャルドネが使えそうだと分かったので、2012年から樹を増やし、生産量を増やしていきました。」
収穫の時期には広島のワイン好きが集まり、収穫を手伝ってくれます。収穫した葡萄は世羅のワイナリーへ運び、委託醸造をしてもらいます。産まれたばかりのワインですが、このワインを通して鈴張を知って欲しい。それが故郷鈴張への恩返しになると思っています。佐々木さんは少年の様に目を輝かせ、そう語ります。

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これまでの集大成 SUZU2020

こちらが佐々木さんの作られている白ワイン、「鈴張シャルドネ アンウッディッドSUZU2020」です。アンウッディッドとは、樽を使っていないという意味で、鈴張シャルドネの香りを純粋に楽しんでもらうための仕込み方です。8度から11度が飲み頃ですが、冷蔵庫で冷やした状態からゆっくり飲んでいただくと温度変化による味わいの変わり方も楽しめます。ワイングラスに注ぐとさっぱりとした柑橘系の香りが広がります。辛口で爽やか、スッキリとした口当たりで、そのままでも、和食や魚介系のお食事と一緒でも楽しめます。
今年は天候不良のため製造量が少なく、テレビなどの取材の反響で既に販売できる量がありません。年ごとに葡萄の味が異なるため、既に“今年はどんな味になるだろう?”とファンの方は楽しみにしていることでしょう。今後、赤ワイン造りにも挑戦されるとか。ワインがお好きな方は、収穫から関わってみるのはいかがでしょう。愛着が湧くワインが楽しめますよ。

写真 田頭義憲 / 取材・文 日高愛子

店舗情報

  • 店名

    鈴張ワイン

  • 住所

    〒731-1141 広島市安佐北区安佐町鈴張5048-15

  • 連絡先

    sam.suzuhari-wine@fch.ne.jp

写真:ワイン

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