No.132焼き菓子

焼き菓子

バターとカシューナッツの香り高いクッキー

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海田町の坂の上にある人気の焼き菓子店

海田町の旧山陽道から山側に上る、細い坂を登りきったところに素敵な焼菓子屋があります。DE LA MER。古民家風のおしゃれな一軒家の扉を開けると、シックな什器の上に沢山の可愛いお菓子が並んでいるのが目に飛び込んできます。こちらは新谷知紀さん、早苗さんがご夫婦でされているお店です。落ち着いた佇まいの店内には、いつもひっきりなしにお客さんがいらっしゃいます。土日はSNSを見たおしゃれな女性達が遠方からも来店し、坂道にはよく行列ができるのだそう。
元々、奥様の早苗さんには自分の店を持つという夢がありました。製菓専門学校を出て、初めて勤めたホテルでパティシエとして活躍します。しかし、入社して十数年が経つ頃から お菓子の材料の価格高沸の波が職場にも押し寄せました。コストを重視する職場の方針と、材料にこだわりたいという早苗さんの想いは重なることはなく、次第に夢だった自分の店を出すことを考え始めたと言います。

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ご主人と仲間たちに支えられて

早苗さんと同じ職場で働いていたのが、現在のご主人になる知紀さんでした。早苗さんが店を出したいという話をしていると、「一人じゃ無理があるから、二人でやろう」と知紀さんが声をかけてくれたのです。
ホテルを退職した後、一年間で店の設備を整えます。お店の建物は早苗さんのご実家の別棟で、解体作業や壁の塗装も、工務店さんに教えてもらい自分達で出来る限りやりました。
お店の宣伝も初めは手探り状態。しかし、開店の一年前からお菓子の試作を地道にSNSで発信し続けた努力が実り、今では沢山の方が坂を登ってお店に訪れます。
実直な性格の二人のお菓子作りに妥協はありません。そのハイレベルなお菓子は、毎日800個~1000個飛ぶように売れていきます。「パートさんにも来てもらい作ります。もしも一人で独立していたら…この規模のお店は作れませんでした。主人にもスタッフにも、本当に感謝しています。」と微笑む早苗さん。

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お客さんの顔が見えることの幸せ

ドゥラメールのお客さんには優しい人が多い。早苗さんが体調を崩して休んだ日、お客さんが「ゆっくりされてくださいって奥さんに伝えてくださいね。」と家族の人数分のパックうどんを持ってきてくれたこともあります。飲み物の差し入れを貰うこともあるし、毎日沢山の「ありがとう」の言葉をいただいています。
ホテルの窓もない地下の調理室でひたすらお菓子を作っていた時は、お客さんの顔を見ることなんてなかった。今はお客さんの顔が直に見られて、こんなにも沢山の“ありがとう”がいただける。お店を開いて本当によかったとお二人は言います。
新商品を出す時は『あのお客さんが好きそうだな』と顔が浮かびます。商品を増やす時は、代わりにどれかを減らすのが普通です。でも、どのお菓子にも気に入ってくれるお客さんがいると思うと減らせないんですよね…と早苗さん。
新谷さん達のお菓子はこれからもお客さんに愛され続け、そしてこの街の笑顔を増やしていくことでしょう。

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開店当時から愛され続けるクッキー

逸品として紹介していただいたのは、「サブレ・アルチザン」です。サクサクと軽い口当たりでありながら、北海道バターの風味が濃厚で満足感のあるサブレ。いただくとカシューナッツの香りが鼻腔に広がり、満ち足りた気分になります。生地の段階で低温熟成させるのですが、ナッツの香りを生地に移してから焼き上げるのがコツなんだそうです。
「よくおススメや人気商品は何ですかと聞かれますが、正直どれか一つを選ぶのは難しいんです(笑)。でもこのアルチザンは開店した当初からずっとあるお菓子で、誰もが美味しいと言ってくださいます。お店を代表するお菓子ならこれかな、と思いました。」
確かに並べられたお菓子はどれも美味しそうで目移りしてしまいます。何度も足を運ばれるお客さんは、絶対にこれ! というお気に入り商品があり、一人で何個も買っていくんだとか! 売り切れないように何度も追加を出してくれる所に、お客さんへの優しさを感じます。

写真 MiNORU OBARA / 取材・文 日高愛子

店舗情報

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