No.152カルロス

カルロス

カルロスを仕事にする

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河川敷のすすめ

拠点を持たず活動しているカルロスさんに、取材場所はどこにしましょう? 即答で「天満町か中央公園の河川敷はどうですか?」。とっても気持ちよく晴れた日の早朝に、自称晴れ男のカルロスさんは、颯爽と自転車で現れました。外国人のような風貌とカルロスという名前にも興味津々。物腰柔らかで穏やかな話しぶり、どうやら生粋の日本人。写真家でもあり、お洒落でキャッチーなフードイベント企画やケータリングなど、様々なイベントの仕掛け人といったところでしょうか。肩書はひとつに絞れないというカルロスさん。「もし、料理人って肩書で活動していたら、料理の仕事しかこないでしょう? 色々やりたいのに、可能性が狭まってしまうのは、嫌なんです」。野外や屋内の場所を独創的に使って様々なイベントを行ってきたカルロスさん。「広島は川が多くて、素敵な場所が多いです。もっとこういう河川敷を使っていけたらいいなと思うんです」。とても気持ち良い河川敷。この日も座り込んでいるのは、私たちだけ。贅沢に貸し切り状態です。特別な何かがなくても自然にあるものだけで十分楽しめますね。

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スペイン・バルセロナへ

一つの肩書にこだわらず、自由な発想で活動をしているカルロスさんは、どういった経緯で今のスタイルになったのだろうか。カルロスさんは、高校を卒業する頃、明確にやりたい事がある訳ではないのに、当たり前のように流れで大学へ行くというのは違うなと感じたそう。「高校時代までサッカーをやっていた事や、スペイン・バルセロナにはピカソやガウディなどアーティストが多くいたこともあり、スペインに行ってみたいと思うようになりました」。高校を卒業して1年間、留学資金を貯めるため、アルバイトを始めました。異国で言語がわからなくても働けるのは、飲食店ではないかと思って選んだといいます。1年間の準備期間を経て、20歳で、初めての海外、スペイン・バルセロナでの新生活をスタートしました。まずは、語学学校でスペイン語を学び始め、「初めての海外暮らし、めちゃくちゃ楽しくて、夜の街に出て遊んでいたら、早めに言葉を覚えていました。日本人離れした風貌に、日本人のグループに誘われる事も少なかったですね(笑)」現地の人とのコミュニケーションが、語学学校より早くスペイン語を覚えられたというカルロスさんは、1年間通うはずだった語学学校を、9カ月で卒業することになりました。

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帽子の作り手から料理の道へ

ファッションに興味があったカルロスさんは、帽子の学校に入学します。帽子の学校の先生にファッションの学校に進学してみてはどうかとすすめられたものの、その学費が高いため、働いてお金を貯めたいと思っていたところ、奇跡的な出会いが訪れます。知り合いの近所のフランス人の夫婦にばったりと出会い、「近くにレストランをオープンしたんだよ。遊びにきなよ」と誘いを受け、そのレストランに遊びに行ってみると、センスの良いこじんまりとしたレストランを一目で気に入り、「ここの場所を、昼の時間帯だけ貸してください!」。オーナーは「まずは、君の料理を食べさせてほしい」と、自作の料理を食べてもらい見事合格。まずは夜を担当しているシェフのもとで1カ月間、地中海料理の基礎を学んだ事が、今のカルロスさんの料理のベースになっているといいます。カルロスさんが料理に興味を持ったのは、お母さまも料理が得意で、食べる事が大好きな事もあり、小さい頃から様々な料理に触れる機会は多かった事がきっかけでした。また、そんな料理が得意なお母さまから「スペイン留学中に『自宅を改装し、レストランを始めました』との報告を絵葉書で知りました(笑)」とのエピソードもあったとか。それから、ランチタイムの料理人としてスタートしたカルロスさんは、スペインで和食が流行り始めていたこともあり、和食と地中海料理のランチ営業を2年間続けました。

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カルロスを仕事にする

6年間のスペイン生活を終え、ベルギーのファッションの学校に入学するため、一時帰国のつもりで、地元広島に戻ってきたカルロスさん。「ブランド物を全身に身に着けるとかではなく、各々が好きなファッションを楽しめたらいい」と思っていたカルロスさんは、ファッション業界だけでなく、いろいろな業界や職業の人たちと自由に一緒になってできる事がしたいと、ファッション留学をとりやめて、広島でできる事はないか模索を始めます。そんな中、ニューヨークのブルックリンに1カ月滞在した際、「ブルックリンフリーマーケット」に出合います。各々が自分の好きな物を追求し、特化したモノ作りをして出店している、土日限定の屋外マーケット。この街は、モノ作りの土壌があり、街に活気が生まれている。「広島でも同じ事をしてみたい!」広島に戻り、仲間と一緒にイベント企画を始めたといいます。たくさんの海外文化を吸収し、広島で次々と新しい試みをしているカルロスさん。写真家、イベント企画やフードの活動、現在では、ウェブサイトのインタビュアー、編集の仕事も始めたそう。「どんどん肩書が増えていきますね」「カルロスを仕事にできたらいいなと思います」。

写真 加藤郁夫 / 取材・文  三宅真理子

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