No.165vegan lunch box

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「食」を軸に、ワクワク楽しむ秘密結社

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日々の暮らしを豊かにする、おいしい時間を演出するお菓子たち

「秘密結社ってなんな~ん? って思われるでしょ? 初めてイベントをしたときに、素性を知られたくない事情がありまして…。その名残りなんですよ」と語るのは、秘密結社EPICEの藤岡美紀さん。東広島を拠点に、クッキーやグリッシーニ、グラノーラなど、カラダに優しいお菓子やパンを作っています。お菓子の他にも料理はもちろん、アクセサリー作りなど「やりたいこと」がたくさんあるという藤岡さん。パティスリーやブーランジュリなどカテゴリーに縛られない「秘密結社」は自分の活動にピッタリだと今ではお気に入りの名前に。「EPICEはフランス語でスパイスのこと。私が作るものや企画をすることが、誰かの心を癒したり活力の元になる、そんな生活のスパイスになればいいなと思っています」と秘密結社EPICEへの思いを話してくれました。
藤岡さんが今の活動を始めるまでに、長い道のりがありました。小さなころからお菓子作りが大好きだったという藤岡さん。「また卵やバターがなくなってる!」と家の人が呆れるほど、時間があればクッキーやカップケーキ、ドーナッツなどを作っていたそう。このころから「自分が作ったもので誰かに喜んでもらうこと」は藤岡さんにとっての喜びでした。

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お菓子作りから料理人の道へ

高校卒業後は大阪か名古屋にある製菓の専門学校に進みたいと思っていた藤岡さん。「将来を考えて、お菓子だけでなく料理全般を学んだ方がいいのでは」という家族の勧めもあり、広島にある調理の専門学校に通い、和・洋・中・スイーツと料理の基礎を学びました。卒業後に就職したのは、ホテルのイタリアン。料理人として厨房に立っていましたが、お菓子作りが諦められなかったといいます。勤務時間外や休みの日には、パティシエについてお菓子作りを学んだりしていたそう。スイーツがそこまでやりたいのなら、と紹介してもらったホテルへ移籍しましたが、人手が不足していたパン部門に配属されてしまいます。
このままパン作りだけになるのではと不安を感じていたころ、カフェをやってみないかと誘われて店長で迎え入れられました。「自分の力不足を思い知って、人生初の挫折感を味わいました。料理も学んだ、パンもスイーツもできるから、やれると思ったんですよね。でも上手くいかなくて。集客もできない、材料を使い切ることもできない、お店を上手く回せなくて、1年ほどで辞めてしまいました」その後も、憧れていたフレンチレストランで勤めても、料理への向きあい方の違いを思い知り凹んでは辞めてしまうなど、飲食店を転々とした時期がありました。「料理に真剣に向き合いたい気持ち、遊びたい気持ち、30歳を前にした焦りとかいろいろ複雑な気持ちが入り乱れていた時期でしたね。それでもエスニック料理店でスパイスの奥深さを知ったり、ビーガン料理に出合ったり。迷い続けながらも、今につながる財産を手に入れた時期でもありました」と当時を振り返ります。さまざまな迷いを抱えた藤岡さんは心機一転、実家のある東広島市に拠点を移すことを決意。地元で飲食店に勤めながら10年ほど過ごし、2019年に秘密結社EPICEとして活動を始めました。

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自分の心に正直に、やりたいことはやってみる

「やりたい、やりたいと迷うんだったら、やってみたらいい。やりたことがあると迷っている人に、できるんだということを示したい気持ちも少しあります」と話す藤岡さん。今は週に5日は正社員として働きながら、仕事終わりや休みの日に近くの加工場を借りて副業でEPICEのお菓子を作っています。「兼業は大変じゃないかと聞かれることも多いのですが、今は自分の将来のためにやるべきことをやっているだけ。いつかEPICEを本業にしたいと思っていますから、大変とは思わないですね。」と話します。
今は本当に毎日が慌ただしいとい藤岡さん。イベントの前などは仕事終わりから仕込みをはじめ、明け方までかかるようなこともあるといいます。「それでも今は楽しくて仕方ありません。自分の責任の範囲でやれることをやって、やったことは全て自分に返ってくる。その手応えがたまらなくて。不思議なもので、副業を始めてから本業の方も張り合いが出てきました。組織だから出来ること、個人だから出来ること、それぞれが相乗効果で刺激になっているようです。いつかは独立と考えますが、もうしばらくはこのままで続けたいと思っています」

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藤岡さんおすすめの逸品/vegan lunch box

広島市中区にあるKIRO広島by THE SHARE HOTELS。月に1回ここで、藤岡さんはお友達のヨガインストラクターの西村陽子さんと、ランチもできるカフェをしています。ランチは「vegan lunch box」の1種類のみ。テイクアウトもできるようお弁当形式にしています。藤岡さんのお父様が栽培したお米と、東広島産の新鮮な無農薬野菜をふんだんに使った惣菜、西村さんが作る旬野菜のビーガンスープも付いたランチはとってもヘルシー。満足感たっぷりのランチボックスは大人気で、この日を楽しみに訪れる人が後を絶ちません。
「おいしくて満足度の高いビーガン料理が作りたくて。以前から西村さんや親しい友人と『ビーガン研究会』を作って研究しています。スパイスを上手に組み合わせて、飽きがこなくて満足できて満腹になるランチができました。エスニック料理店でスパイスやビーガンの基礎を学んだこととか、いろいろ経験してきたことが役立っています」
カフェだけでなくまだまだ挑戦したいことはあるという藤岡さん。「野菜ができるところから知って欲しいから、農業体験付きのカフェとか。自分がワクワクすることにいつまでも挑戦し続けたい」と目を輝かせていました。秘密結社EPICEのお菓子は、東広島市福富町にある「しゃくなげ館」のほか、広島市内のショップや各種イベントでも取り扱いがあります。最新情報のお知らせはInstagramにあげているので、チェックしてみてくださいね。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 山名恭代

店舗情報

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