No.004DRIP ON THE WORLD TRIP/コーヒーをめぐる世界の旅

DRIP ON THE WORLD TRIP/コーヒーをめぐる世界の旅

1年間で世界一周! コーヒー豆の定期便

小さな商店街から高品質なコーヒー豆を。

広島市の中心街から少し外れの西の町、八百屋や文房具店に並んで小さな商店街の一角で自家焙煎のコーヒー豆を販売するのが「MOUNT COFFEE」です。同店は地元の人が日用品や食料品などの買い物で訪れる庚午北の「高須通り商店街」にあります。「住宅街のそばで、花屋や肉屋や八百屋のような感覚で新鮮なコーヒー豆を出せる専門店をやりたくて。この町に住んでいる人の生活に根付いていくように関わっていけたらと思い、商店街に出店しました」と店主の山本昇平さん。目利きの山本さんが高品質なコーヒー豆を各国から厳選して仕入れ、豆の個性を引き出すように自家焙煎。以前は山本さんだけの仕事でしたが、近頃は腕を上げたスタッフが焙煎する逞しい姿もガラス越しから伺えます。「Fine morning」や「just in time」など暮らしのシーンに合わせてブレンドした豆と、品種、精製方法、栽培方法にこだわった農園主や生産者の元から仕入れるシングルオリジンを取り扱います。現在豆は常時12種類ほど提供中です。

きっかけは90年代に過ごしたバンクーバー。

山本さんがコーヒー豆専門店を営むきっかけになったのが、1990年代に見たバンクーバーの光景。「短期留学でバンクーバーに滞在中、初めてスタバを見た瞬間、衝撃が走ったんです。町のメインストリートのあらゆる場所にスタバがあって。テイクアウトしたカップを片手に持ちながら歩く。その姿やロゴマークなど、見るもの全てがとにかく衝撃的でかっこよかったんです」。当時の日本といえば、スターバックス1号店(1996年銀座)が出店して間もない頃、サードウェーブどころか、空前のカフェブーム(2000年代初頭)も到来前で、今のようにコーヒーを楽しむスタイルがまだまだ確立していませんでした。留学期間中の体験をきっかけにカフェ文化やコーヒーに興味を持った山本さんは、日本のスターバックスをはじめ、イタリアンレストランや自家焙煎を行うカフェ、コーヒー豆専門店で勤務します。やがて興味の的を焙煎に絞り、技術と知識を磨いて2014年に自身の店をオープン。コーヒーに携って2020年で19年を迎えます。

コーヒーが繋ぐ出会いから派生するアイデア

2016年に訪れたグアテマラの農園視察をきっかけにコーヒーの世界がより深いものに感じた山本さん。「産地の情報は写真や資料が手元にあるし、店をわざわざ閉めてまで現地に行かなくても…。と感じていた反面、作られている場所や環境を自分の目で確かめたい気持ちもあって行くことに。そしたらそれが想像以上でした。農園主と働く人の関係、国の情勢までも感じられるすごい体験をしました。コーヒーだけじゃない、それを取り巻く景色までも見た感覚」。その体験をきっかけに山本さんのコーヒーに対する情熱はより深いものへと変化。その翌年には台湾で開催されたアートブックフェアへ尾道の「ウシオチョコラトル」の中村さんと参加。そこでもたくさんの刺激的な出会いがあり、その後もさまざまなイベントで全国各地の素敵な店や人たちと繋がっていきます。「出店者同士で話をして繋がりができていくのと、店ではやらない実験的な企画が試せるのが面白いんです」。実験的な試みとして例をあげると、限定ブレンドや、山本さんがセレクトした1冊の本と、それに合わせてコーヒーを提案する「BOOKS YAMAMOTO」などの試み。コーヒー豆専門店の垣根を超えたアイデアは山本さんの頭の中にどんどん湧き上がります。そのインスピレーションはこうして各地へ出向いて多くの人に出会うことで膨らんでいるのかもしれません。2020年には山本さんがこれまでに出会った人を紹介するフリーペーパー「YAMABON」と音声メディア「RADIO YAMABON」がスタート。「どちらもコーヒーを通じてできることの一部」と話す山本さん。得意を発揮してくれる個性豊かなスタッフと協力しながら今後も大小さまざまな変化を続ける「MOUNT COFFEE」の動きに目が離せません。

世界各国のコーヒー豆が定期便で自宅に届く

「DRIP ON THE WORLD TRIP」は、世界各地のスペシャリティーコーヒーが定額料金、送料無料で毎月ポストに届くコーヒー豆の定期便。一つの農園や地域で生産され、風土や品種、豆の精製方法によりそれぞれの個性際立つ味わいの焙煎した「シングルオリジンコーヒー」が、翌日または翌々日には発送され、美味しい豆の状態でポストに届きます。3ヶ月ごとに地域を変え、1年かけて世界を一周。「コーヒー豆は焙煎度合と産地の好みが決まると他の豆を買う機会がだんだん減るので、このサービスを利用してもらってまだ知らない産地の豆を気軽に試してもらいたいと思ってスタートしました」と山本さん。生産国、農園、豆の特徴が細かく手書きされたレポートに目を傾けながら、まだ出合ったことのないコーヒーをいただく楽しみは、気軽に外出できなくなった今の状況を楽しい時間に変えてくれる、最強のアイテムです。

写真・取材・文 篠原ゆき

店舗情報

写真:DRIP ON THE WORLD TRIP/コーヒーをめぐる世界の旅

DRIP ON THE WORLD TRIP/コーヒーをめぐる世界の旅

チケットで広島のお店を応援!電子チケットを購入するチケットで広島のお店を応援!電子チケットを購入する 電子チケットについて 一覧へ戻る