No.017デザインカプチーノ

デザインカプチーノ

笑顔を引き出す至福の一杯

20歳のころに受けた感動をより多くの人に届けたい

「わざわざ足を運んでいただける、そんなお店を目指しました」そう語るのは、東広島市八本松にある「latte art café Crema」のオーナーバリスタである竹崎智佳さん。住宅地に突如現れる洗練された商業施設「八本松ガーデンプレイス」に、クレマがオープンしたのは2006年のことでした。以来、本格派バリスタのいるカフェとして知られ、さまざまなメディアにも取り上げられる人気店に。開業当時に竹崎さんが思い描いた「わざわざでも訪れたいカフェ」として多くの人に愛されているお店です。
「お客様の前でカプチーノを淹れることが好き」と語る竹崎さんがエスプレッソと出会ったのは20歳のころ。バイト先から派遣された研修で、初めて「バリスタ」の仕事を目の当たりにしました。「プロが入れるエスプレッソやカプチーノは、信じられないくらいおいしくて。目の前で描かれるラテアートにもすごく感動しました」あの時の感動を今でも変わらず感じられる、と竹崎さんは話します。「一杯の飲み物で人の心が動かせる、あの感動を今は私が誰かに届けることができる」その幸せを噛みしめながら、今日も至福の一杯を淹れています。

運命の出合いからプロの道へ

竹崎さんが食の世界に興味を持ったのは高校生のころ、雑誌で見かける華やかに演出された料理のページに心惹かれ、短大で食品科学を専攻しました。その後、上京してフードコーディネーターを養成する専門学校に入学し、カフェでアルバイトを始めました。店にあった大型のエスプレッソマシーンの使い方を学ぶため研修に参加し、そこで初めてバリスタに出会います。「もともと食を演出することに興味があったので、ラテアートはすぐに魅かれました」この技術を必ず身につけたいと研修後も学べるよう直談判をし、講師のバリスタのもとで学び続けました。それから1年後の2001年、竹崎さんは日本で初めて開催された「全日本バリスタチャンピオンシップ」に出場し、準優勝を獲得するほどの技術の持ち主に成長していました。その後UCC上島珈琲株式会社に入社し、新店舗オープンのため広島に戻った竹崎さんは、お客様だけでなく提供しているお店でさえも、エスプレッソやカプチーノに対する認知の低さを実感します。「本当のおいしさを伝えるアドバイザーが必要」と会社を飛び出し、フリーのアドバイザーとして活動を始めました。活動を続けるうちに竹崎さんのアドバイスを求める人も増え、「もっと気軽に相談できる場所が求められている」と自らの拠点を持つ決意をし、クレマをオープンしました。

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クレマは誰もが自然体で笑える場所

「お客様を笑顔にする接客が大好き」という竹崎さんは、拠点を持つならカフェにすることを考えていたそう。ここでアドバイザーから経営者兼バリスタの道を歩み始めます。いざ始めてみると、経営者としての不安や孤独に押しつぶされそうになることや、「お客様を笑顔に」の思いが強すぎて、自分やスタッフが無理をしてしまうこともあったそう。それでも乗り越えてこれたのは、ここで笑顔になってくれるお客様や支えてくれるスタッフの笑顔があったからだと竹崎さんは話します。10周年を迎えた年、これまでの歩みを振り返り「人を笑顔にしたくて志したバリスタという仕事が、私自身を笑顔にしてくれている」ことに気が付いたといいます。「喜んでもらいたいと肩に力が入っていたんでしょうね」そんなに肩肘張らなくても竹崎さん周りにはいつも笑顔が溢れていて、その笑顔がまた竹崎さんを笑顔にしています。そのことに気が付いてからは、肩の力が抜けて心から仕事を楽しめるようになったそう。「一杯のカプチーノを通じて、お客様もスタッフも、もちろん私も。みんなが自然体で心地よくいられる、クレマはそんな場所であり続けたい」そう願う竹崎さんに会うために、出掛けてみませんか。

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竹崎さんおすすめの逸品/デザインカプチーノ

竹崎さんがバリスタになって20年が経ち、コーヒーを取り巻く環境は大きく変わりました。自家焙煎の豆で提供する店も増える中、クレマではオープン以来変わらず、竹崎さんが信頼するロースターである門脇洋之氏に、オリジナルの焙煎を依頼しているのだそう。「バリスタに一番必要な仕事は接客。そこに力を注ぐ為にも、信頼できる焙煎士に頼っています」と竹崎さん。島根でカフェロッソを営む門脇氏は「全日本バリスタチャンピオンシップ」で共に競った仲間で、お互いの好みを知り尽くしている存在です。そんな門脇さんにオーダーするのは「アフターテイストにコーヒーの余韻が残せる豆」。カプチーノはエスプレッソとフォームミルクで作ります。フォームミルクの甘みやクリーミー感に負けず、飲み終わった後にしっかりコーヒーの余韻が残る、それこそがクレマのカプチーノ。「流行りに惑わされず、本来のエスプレッソの味を伝えながら、目の前のお客様の気持ちに寄り添えるようなデザインカプチーノを提供し続けていきたい」と竹崎さんは語ります。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 山名恭代

店舗情報

写真:デザインカプチーノ

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