No.025新ベトナム

新ベトナム

「産地で味を選ぶビーガンチョコレート」

尾道・向島の、海が見えるチョコレート工場

尾道市内から車で20分程走ると辿り着く向島の山道沿いに、瀬戸内海は立花海岸を一望できる場所があります。そんな素晴らしい立地に、カフェ付きチョコレート工場[尾道USHIO CHOCOLATL]を立ち上げたのは、3人の男性でした。「きっかけは、メンバー3人ともが同じようなタイミングで尾道に移住してきたこと。一緒のイベントに出たりする内にプライベートな話をするようになり、行動する機会が増えました」と、立ち上げメンバーのお一人・栗本雄司さん。代表取締役の中村真也さんがビーガン(完全菜食主義者)で、『自分でも食べられる、ミルク(動物性の物)を使っていないチョコレートを作りたい』という夢を語ったことが、全ての始まりだったそうです。宮本篤さんを含めた3人で、実現に向けて動き始めました。

ゼロから始めたチョコレート作り

それまで携わっていた仕事は全員バラバラで、チョコレートを作ったことがあるメンバーは居らず、ゼロからの出発でした。海外のチョコレート製造会社の動画を見て、使っている機械が何なのかを調べたりすることから始めたそうです。[尾道USHIO CHOCOLATL]のチョコレートはカカオ豆と砂糖しか使わないので、カカオ豆の味=チョコレートの味になります。コーヒーのように産地で味を選んで楽しんでいただくために、あえて個々の特徴を引き出しています。現在は世界各国の農園から豆を仕入れていますが、今後はアジア圏で揃えることも視野に入れているそうです。取引先も90箇所近くまで増え、オープン当初(2014年)は1日100枚程度だった生産量が、およそ4倍の400枚程度生産可能なまでに成長しました。(2020年11月時点)

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生産者のこだわりを届ける

[尾道USHIO CHOCOLATL]で使用しているカカオ豆は美味しいことが大前提ですが、生産者の背景も含めて選ぶようにしているそうです。「取引をする生産者さんにはできるだけ会いに行くようにしています。栽培環境はどうなっているか、どのような思いでカカオ豆を作っているかも大切にしているからです。味はもちろんですが、皆さんに安心して食べていただける素材でチョコレートを作っていきたいと考えているので、できる限りオーガニックなものも選んでいます」と、栗本さん。砂糖は、起業当初からブラジル産のクセが少ないオーガニックシュガーを使っており、カカオ豆の味を生かしながら、“食べやすくする”という意図で、必要量のみ使用しているそう。特徴的な六角形のデザインは、3人で始めた場所なので「3」という数字を大切にしたいという思いから、3の倍数で強度が高い《ハニカム構造》の六角形となっています。

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カカオと砂糖だけで作る香高いチョコレート

今回ご紹介する逸品は、アーティストで絵描きの原マスミさんにパッケージデザインをお願いした[新ベトナム]。これまでのベトナム産から農園を変えてリニューアルした新商品で、フルーティーさと香ばしさがちょうど良いバランスなので、砂糖とカカオ豆だけで作ったチョコレートを食べたことがない方にもおすすめの一品です。カカオ豆と砂糖だけで作ったチョコレートからベリー系の風味がするのは驚かれるそうですが、カカオ豆は発酵させるものなので、酸味がたつのが一般的。大手企業さんであれば炭っぽく煎って苦くしてから、ミルクと砂糖で美味しいチョコレートにするけれど、小ロットで作るからこそできることを追求していきたいと考え、あえて浅く焼き酸味を出しているそうです。商品ひとつひとつに付けているキャプションは、自分たちが食べて感じたことを自分たちの言葉で書かれており、その丁寧さも、[尾道USHIO CHOCOLATL]の人気の秘訣なのだと思います。ぜひ産地ごとに食べ比べをして、違いを楽しんでいただきたいです。

写真 MiNORU OBARA / 取材・文 野田夏梨

店舗情報

写真:新ベトナム

新ベトナム

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