No.028カプチーノ

カプチーノ

ライダースショップで飲む スペシャリティコーヒー

好きが高じて今のカタチになりました

サイドスタンドコーヒーはアパレルショップの中にあるお店。並木通りから一本路地を入り、煉瓦ビルの一階に掲げられた黒板が目印です。「好きが高じて…」と何度もおっしゃる迎井呂佳さんはコーヒーの他に好きな物があります。それは実のお兄さんの影響で好きになったバイク! もちろんここへも毎日バイクで通勤です。若い頃からメカをいじるのは大好きで、それが現在コーヒーを淹れるのに大いに役立ってます。というのも、エスプレッソマシンは愛車みたいなものなんだそう。「マシンはメンテナンスをして大事に使いますよ。毎日触っていると、これじゃないと! って愛着が湧いてきます」。迎井さんは話すうちに目がキラキラ。男のロマンっていうんでしょうか、マシンについて語りだすと止まりません。そして、とてもフレンドリーで低姿勢でいらっしゃいます。実はバイカーのお店って硬派な印象が私にはあり、お店の扉を開ける時は緊張していたんですが…迎井さんの優しい口調と笑顔で緊張はあっという間に溶けていきました。

好きなものにはまると、時が経つのも忘れて夢中になっちゃいます

車にもオートマとミッションがありますが、エスプレッソマシンも同じ。迎井さんがたどり着いたマシンはイタリアのLA MARZOCCO社製ストラーダという機種で、一般的なマシン(セミオート)ではできない調整がバリスタによってできる、こだわりのマシンです。豆の状態、グラインド(豆を砕く)のきめ細かさ、豆を詰める感覚の強弱、バルブの圧力、全てをアナログで調整できるマシンがゆえ、他にスタッフがいれたとしても同じコーヒーの味は出せません。もともとコーヒー好きではあったけど、この道に入られたきっかけは、働いていた飲食店がカフェをすることになったから。気になったらとことん極めたくなる迎井さんは、自分の味にたどり着くまで研究に研究を重ねました。「大変って思ったことはあまりないですね。本当に好き、から始まったので」。迎井さんにしか淹れられないその味は「コーヒー好きをうならせる美味さだ」「コーヒー好きなら行くべき」と一目置かれる存在になっています。

写真

お兄さんとお店を経営することでなんでも言い合える

ここはもともとお兄さんがアパレルショップをしていた場所。迎井さんが入るときお店を全面改装して今の形になりました。「もし共同経営しているのが他人だったら、こんなに自然にコラボレーションできていなかったかもしれません」。お店のスタートからいろんなことがあっても、実のお兄さんだから何でも話しあってこれました。2013年に開店されてスタイルの変化はなく、当初からコンセプトはぶれません。「今までにないお店にしたかったし、コーヒーがお客さんの生活に寄り添うようなスタイルを目指したかったんです」。あえてベンチやテイクアウトだけの“さっと”寄れるお店。お客さんがどこかへ向かう途中、サイドスタンドをぱっと出してコーヒーを飲み、立ち去っていく…そんなイメージなんだそうです。

写真

コーヒー好きをうならせる味

逸品として淹れていただいたのは、カプチーノ。使うコーヒー豆にもトレンドがあり、酸味、フルーティ、ナッツ等、様々な表現がされるコーヒーの世界。詳しく話を聞くとその奥の深さに驚くことでしょう。そんな豆の旨味が濃縮されたエスプレッソに、きめ細やかなフォームミルクが注がれ、その上に手早くアートが描かれていきます。繊細さに、思わず飲むのをためらうほど。一口目から最後の一口まで柔らかな口当たりが続き、カップが空になる頃にはほっこり幸せな気分になります。リピーターさんからの要望でフードメニューも増えました。ケーキも全て迎井さんが手作りしていらっしゃいますし、夜はバーでの経歴を活かしてお酒を出しますが、シロップを手作りされているこだわりっぷり。バリスタ・迎井呂佳の「好きが高じて…」が体現された世界に一つのコーヒーショップ。コーヒーへのこだわりやエスプレッソマシンのことを聞くと、目をキラキラさせながら丁寧に説明してくれました。

写真 加藤郁夫 / 取材・文 日高愛子

店舗情報

写真:カプチーノ

カプチーノ

チケットで広島のお店を応援!電子チケットを購入するチケットで広島のお店を応援!電子チケットを購入する 電子チケットについて 一覧へ戻る